第二十四話 〜新たな決意と、仲間〜
あれから私は
空亡は少年の姿のまま私の隣に座っている。
なにを話したらいいのだろう。考えていると色々な思考が巡り自己嫌悪に襲われる。
そんな気持ちで俯いていると、空亡が優しい声で話を始めた。
『…大丈夫だ。未来はこれからどんどん強くなれる。今はまだ陰陽師について知ったばかりではないか。失敗の数だけ人は強くなれると晴明も言っていたぞ。
…思えば、晴明も色々失敗していたな。失敗は経験だ。次に活かせばなにも問題はない。
それに、
空亡はいつになく
「そんなにおしゃべりするんだね。」
私はそんな一面も見られて嬉しかった。
「ありがとう。もう、大丈夫だよ。でも、やっぱりごめんね。もっと…もっと強くなるね。」
私は空亡の言葉と行動に励まされた。それに絶対に報いてあげたい。私は空亡の隣に立つに相応しい陰陽師になる。強くなって、守られるだけの存在からお互いに助け合える存在になりたい!
『…うむ。』
空亡は私の決意を感じとったのか、一言だけ肯定し、黙った。
今日の戦いで、私には知識も陰陽師としての技術も足りないことがわかった。もっと知識を蓄たくわえて、技術をあげて、陰陽師としての格を上げなくちゃならないと感じた。そうと決まったら私のやるべきことは一つだ!強くなろう!その為には修行だ!やってやる!今度は私が狐の鼻っ柱をへし折ってやる!!
決意を決めたその時…
――キイイィィィィィィィン……――
そんな音と共に、空亡が持っていた玉が光り、ふよふよと宙に浮いてきた。
『「え!?」』
私たちは2人して驚いた。
そして、頭の中にテレパシーのような感じなのか、声が聞こえてきた。その声は美しくとても澄んだ声色だった。
―未来さん…わらわの声が聞こえますか?―
―わらわは「天狐」のソ・ラ・と申す者です―
天狐?もしかして…!?
―わらわの力不足で玉藻前の力を抑えることが叶わず、ましてやわらわの力まで吸収されていた事、誠に申し訳ありませんでした。―
その光の玉は申し訳なさそうな雰囲気をまとって話をした
―玉藻前は封印の綻びが生じたのに乗じて、わらわの力を取り込みました。わらわも抵抗はしましたが、大戦の傷と長年の消耗で抑え込まれてしまいました。―
『そうか、あの時は本体の封印には至らなかったのだな。しかし、無事でよかった。天狐の微かな妖力を感じたからあやつの体内から取り出してみたが、賭けだったぞ。』
―それは本当に運が良かったですね。なんとか完全に取り込まれる前に結晶化出来ました。ありがとうございます。
さて、話を戻しますが、先の玉藻前は幹部クラス。なかなか手強かったです。大戦時、本体の封印には至らずとも、力の半分は封印できたので、この地に封じてきました。まさか、力を遠隔で操れるとは…。―
『それは、ここが稲荷神社であることに起因しそうだな。』
―そうですね。わらわも狐の妖怪ではありますが、神社の力も操作していたみたいですね。私にはあまり効果を得られませんでした。―
『力を直接操作するのか…。なかなか厄介な力だな。お互いの切り札は流石に隠していたからな。我も、今回は切り札を出さざるを得なかった。恐らく今頃、厄の連中に話を通しているだろう。』
「…あ、あの、とりあえず、謝罪は受け取りましたけど、ソラさんのせいではないですよね?何もかもあの狐仮面が悪いですよね?」
―そうですね。ですが、わらわが押し負けてしまったこともまた事実です。―
ソラさんも負けたことが悔しいんだ。さっき自分も失敗してその思いは痛いほどにわかる。
「さっきの空亡の話じゃないけど、それは相手が上手だったってことですよね?なら、私と一緒に強くなって打ち負かしてやりませんか!?」
―……!?未来さん。あたなはなんというお人でしょう。―
『ははは!いいぞいいぞ!!その息だ!』
ソラさんと空亡は両者異なった反応を見せた。ソラさんは驚いたように、空亡は心底おかしいと思うように。
『言っておくが、天狐の本来の力はすごいぞ?言っても神だからな。大戦時は混戦だったし、謙虚なのもあるが、未来の思っている以上の妖怪だ。』
「マジか……、神さま……!?すみませんでした!でしゃばって!」
―いいのですよ。わらわの油断も実力のうちですよ。未来さんと強くなるのはありですね。―
ソラさんは嬉しそうな声で返答した。
「そっか!それはよかった!ありがとうございます!一緒に頑張りましょう!
そういえば、ここが稲荷神社って言ってたけど…?」
『ああ、狐の像と数多い鳥居を見ただろう。十中八九ここは稲荷神社だ。稲荷神社は基本的に狐の神を崇拝しているんだ。だから、天狐も玉藻前もこの地の力を有利に使えたんだ。だが、その力を玉藻前が独占してしまったと言う感じだな。』
「なるほど……。」
やっぱり玉藻前は尋常じゃない強さなんだな。
気合いを入れ直さないと!
―では、これからわらわは未来さんと一緒に強くなると決めました。常に一緒にいた方がいいでしょう。―
そう言うと、ふよふよしていた球体は真珠が1つついたようなネックレスの形を成し、私の首にぶら下がった。
―わらわはここにいますのでいつでも呼んでください。―
なるほど。こういった変化もできるのか!?
神さまが首にぶら下がっていると思うと緊張するな。
―緊張しなくても大丈夫ですよ。―
「え!?」
神様だから心が読めるの!?
―いえ、読まなくてもわかります。―
そんなにわかりやすいかな?
『未来はわかりやすいぞ。』
「空亡も!?!?」
と、そんな感じで少しいじられた。
とりあえず、仲間もできたし、今日はこの辺で帰るとしましょう。
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