第十八話 〜契約がもたらす影響〜
お父さんへの質問タイムは続いていて、今は
「火車は、どんな能力を持っているの?」
「ん?ああ、まず火車について話すと、閻魔大王の
なるほど。そうだったのか。火車も契約しているみたいだし、他にも力があったりするのかな?聞いてみようかな。と思っていると。
『火車も契約しているのだろう?どんな力を得ているのだ?』
私が気になっていることを空亡も気になったようで聞いていた。
「火車に関しては、特別な力って訳ではないな。元々使える力をより強力なものにできた。という感じだ。本来は魂を運ぶ者だが、人などの物体を運ぶ事ができるみたいだな。その妖怪によって能力には違いがあるみたいなんだ。」
あー!なるほど!確かに妖怪は基本的に物体に触れられないんだっけ??
「現世のものに触られるように実体化することとかもできたりするの?」
『我は今実体化しているが、実体化には結構な妖力を使っているな。ただの球体なんだがな。』
「妖怪の実体化についても、契約をすれば消費を抑えてできる可能性はある。……いや、近年は実体化の省エネ術式が作られたって噂を聞いたことがあるな……。まあ、それはまたあとでだな。」
そうなのか。でも、そうなるとこの技術が悪妖怪達に広まったら大変そうだな。
「契約って今のところそんなに広まってないみたいだけど、これが悪妖怪達に広まったりしたら大変なことになっちゃうよね?その辺は大丈夫なの?」
「完全に大丈夫だ!とも言えないな。実際に今契約できている5人は陰陽省に関連する者達だが、これからどんな奴が出てくるかわからないな。陰陽省の中では門外不出ということで限られたものしかこの話は知らないことになっている。」
情報を留めておくことって意外と大変だよね。しかも、この技術をたまたま見つけてしまう人だっていないとも限らない。悪い者にこの技術が広まらないことを祈るばかりだ。
ご飯を食べながらの話だったが、いつの間にかご飯も食べ終わり、話も終盤になってきた。
「さて、それじゃあ、今日はこの辺で話も終わりにするか!明日からは普通に仕事だし、よく休んで明日に備えよう。」
「それもそうだね。とりあえず先にお風呂入っちゃうね!お母さん!上がったら癒しをくださいー!」
お父さんに言われた通り、お風呂上がりにおかに回復してもらうことにした。空亡も絶賛していた回復が少し楽しみだ。
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私はお風呂から上がり、またリビングに戻ると、空亡と両親が話していた。両親は深刻な面持ちで話を聞いていた。
「お風呂上がったよー!……??どうしたの?なんか深刻な顔しちゃって!?」
「今、常世の状況を空亡殿から聞いたところだ。まさか常世がそんな事態になっているとは…。お父さんは現世の封印が解けてしまうのが問題だと思っていたが、問題はそれだけじゃないみたいだな。」
「そうね。明日また長老に話をしてみた方がいいかもしれないわね。」
空亡は今の常世の状態を話したみたいだ。なぜ、空亡がここにいるのか。常世を現在誰が支配しているのか。百鬼夜行「厄」のこと。現在の閻魔大王についてなどなど、現状を報告したらしい。
陰陽省は常世の情報はあまり入ってこないみたいだ。とすると、人間に協力的な妖怪達は常世から出られないか、意思疎通する手段を断たれた状態にある可能性がある。思ったより深刻な状況かもしれない。
「私も空亡から話は聞いてるけど、結構問題は深刻みたいだね。お父さん達もこの話は知らなかったんだ!?」
「まあ、そうだな。ここのところ、妖怪との連絡が途絶えたり、妖傷を受けた患者の数が増加傾向にあるらしいんだ。この話を聞いて納得したという感じかな。」
お父さんは最近の傾向について話を聞いていたらしく、これが「厄」の仕業であることを理解したようだ。
「全く酷いことを考えるのね。当時の百鬼夜行は代々語り継がれている話ではあるけど、結構酷い状況だったみたいよ?今世にもそれ以上の危機が迫っているというわけね。」
『先手を打つことは叶わなかった。申し訳ない。だが、今世において、我には未来もいるし、土御門家も力になってくれるという。きっと乗り越えられると信じている。』
もちろん、空亡の協力もするけど、家族の協力もあると助かる。あわよくば、長老達も力を貸してくれたらいいなと思う。
「そうね。…あ、未来は回復をかけなくちゃだね!ちょっとそこのソファーに座ってちゃうだい。」
思い出したかのように、お母さんから回復の話が出た。お風呂上がりに回復してもらってとの話だったからお言葉に甘えて回復してもらおう。
言われた通り、ソファーに座った。リラックスしてとのことなので、座ってだらんといている。
お母さんに後ろから両肩に手を置かれて、なにやら呪文のようなものを唱えている。お母さんの手から温かいものが私に移ってくる感じがある。今日の修行でやった、力の循環の時に感じだ力のようなものが、自分の中の力と合わさって力を増幅しているような感覚だった。
「おおー、なるほどーそうやって回復しているんだ〜…。」
「「『…な!?!?』」」
全員から驚きの声が上がった。
え!?なになに!?
「やっぱり天才肌なんだな。」
とお父さん。
『はっはっは!』
と空亡。
「お母さんの立つ背がなくなっちゃうんじゃないかな?」
とお母さん。
私は常識外れのことをしていたらしい……。
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