第十七話 〜更なる力〜
みるみるうちに直っていく部屋をみて、私は呆然としている。
流石にこれはありえないわー。と思いながら見ていた。
「驚いただろう!これがうちの
過去を変えられるってとんでも能力が出てきてしまった……!!
色々制約はあるとは言っているけど、すごい事だ。
まあ、毎回壊しても自分の能力使って元に戻しているのだから文句は言えないか?いや、そんな事はないな。やめればいいのに。
『また、希少な者を連れているな。平安時代では見なかったな。生まれたのは近年なのか?』
流石に聞いた事がないらしい空亡は質問した。
「いや、こいつは平安の生まれだ。件はその性質柄ほぼに表に出てこないしな。だが、こいつが特別になったのは最近の事だ。」
『なんと!?そんな事があり得るのか!?』
「おお、そうなんだよー!……あ、悪い、俺もなかなかに忙しい身でな!その辺はありちゃんから教えてもらってくれ!じゃあな!」
そういうと、今度は律儀に玄関から出て行った。長老を見送ると
「『…………は?』」
私は長老のじゃあなから今までの出来事をさらっとやられすぎて完全に呆気に取られてしまった。
もうなにがきても驚かない気がする。
空亡も私の隣でふよふよしながら、呆気に取られている。
「あー、なんだ、その、いろいろ濃い人だと思うけど、悪い人じゃないんだ。」
お父さんが静寂を破るように、長老のフォローをした。
「そう言えばまだ、ご飯の途中だったわね!続きはご飯食べながらにしましょう!温め直すね!」
お母さんはご飯の途中だったことを思い出し、話もあることだしということで、ご飯食べながらに話しましょうと提案してくれた。
とりあえず、精神的に疲れたから美味しいもの食べて回復したいな。
「…うん、そうしよう。」
私は言葉を振り絞って発した。
こうして、夕飯を再開することとなった。
「それで、なにが聞きたい?この際だからなんでも聞いていいぞ。」
お父さんはそんな言葉を皮切りに話を切り出した。さっきみでの長老との話からどんな事があっても驚かないとは思うけど、説明は欲しいと思った。
『我からいいか?さっきの件は平安生まれだが能力については最近と言っていた。これについて教えてほしい。』
空亡は気になったことを聞いた。先ほどの長老が言い残したところを聞きたいらしい。
「そうだな。さっきの出来事だし、気になるだろうな。それは『契約』というものだ。」
「『
私と空亡な2人してどういうことだろうとわからなかった。お父さんは話を続けた。
「そう、契約だ。平安時代にはなかった技術なんだ。人間と妖怪、お互いの親和力が一定以上だと行えるらしい。親和力は親密度みたいなもんかな?この契約を行うと、人間の陰陽師としての力を媒介して契約した妖怪が普段とは違った力を使えたり持ったりできるようになるんだ。従来の陰陽師はなかば強制的に妖怪を使役して妖怪の力を使っていたんだが、それに比べて燃費もいい技術だな。」
お父さんが説明を終えると、空亡は驚きが隠せないように言葉を紡いだ。
『ま…まさか、そんな技術が開発されているとは…。人間と妖怪の関係も昔と比べて穏やかな世界になったようだな。』
「いや、開発されていると言うのは
『確かに…。我ももっと強くなれる可能性があるというわけか。』
空亡は元々強いとは思うけど、強さを求めるということは、敵の存在もまた強大だという事を暗に示していた。
「そっか。じゃあ私と空亡が契・約・したらもっと強くなれるんだね!?」
私は空亡の力になりたいし、空亡も強くなりたい。となれば、この契約もまた必要な力だと思う。
「まあ、そうなるな。しかし、親和力を高めるのはそんなに簡単じゃないし、契約の儀式もすぐにできる訳でもない。儀式といっても、契約はいつの間にか済んでいるらしいしな。まだ、完全に解明されてる技術じゃないし。まあ、今は行動を共にする訳だし、もう少しお互いの事を知るのが先決だな。」
なるほど。まあ、確かに濃密ではあったけど、まだ出会って少ししかたっていない。私も陰陽師の力に目覚めたばっかりで、使い方もままならない。まだ修行が足りないとは思う。
もっとふたりで、いろんな体験をしていこう。そうすればいつか空亡の隣で戦えるはずだ!
「そっか。じゃあとりあえずは気長に頑張っていきましょう!よろしくね!空亡!」
『ああ、よろしくな。』
2人の決意を確かめ合った。
「あ、じゃあ、もう一個気になったのがあるんだけど、あの猫ちゃんはどういう妖怪なの?ノリがいい感じだったけど!?」
話を戻して、気になることを聞いてみた。
「あの猫は
あー、なんか合いそうだなとは思う。
「契約って1人何体でもできるものなの?」
長老は今のところ2体の妖怪と契約しているみたいだが、限度とかあるのだろうか?
「そこまではまだわからないな。現在の最高契約数は3体だが、長老はあの2体のみだ。人間の力に依存するのか、妖怪の強さに依存するのかまだ詳しくはわかっていない。」
「ふーん、そうなんだ。いつか空亡と契約できたらいいね!」
私は空亡の方をみて微笑んだ。空亡もまんざらではなさそうだ。
『そうだな。未来とならいいコンビになれるような気がするな。』
空亡はそういうと照れくさかったのか黙り込んでしまった。
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