第十一話 〜蘆屋道満一族〜
私が、安倍晴明と
すごい2人なんだろうな。安倍晴明なんかはよく小説とかアニメとかに出てくるけど、蘆屋道満ってあんまり聞かないな。ライバルっていうくらいだからきっとすごいんだろうけど、どうなんだろう。
そんな私の疑問を察しているわけではないだろうが、空亡も気になったようなので、話を聞いていた。
『道満か…。懐かしいな。出会うたびに晴明に勝負を挑んでいたな…。我と別れた後はどうなったか知らないが、伝わっているのか?』
蘆屋道満の話はお母さんから話を始めた。
「蘆屋道満は歴史として伝わっているのは基本的には酷いものばかりなの。悪さをして安倍晴明に看破されるとかそう言ったもの。最終的には、安倍晴明が中国に修行行っている時に、晴明の妻を寝取り、帰還した晴明を
私は道満はそんなに酷い人物なのかと怒りが湧いてきた。
しかし、意外にも空亡が怒りをあらわにした。
『なんだと!?そんな事が伝わっているのか!?あり得ない!!道満は色々ちょっかいを出してきたりしたが、心の底では悪いやつではないぞ!!何かの間違いではないのか!?』
私は驚いた。私とは違う方向で怒りが湧いたみたいである。私は実際に出会ったわけでもない。一緒にその時を過ごした空亡だからこそであろう。
「ええ、表舞台に残っている記録なんてそんなもの。実際、蘆屋道満については殆どが謎と言っても過言ではないわ。でも、安心して、空亡さん。私たちの一族には真実が伝わっているわ。」
空亡は安堵したように沈黙し、お母さんの次の言葉を待った。
「陰陽師って朝廷から認められた、国家認定の官職と言ってもいい職業だったの。もちろん安倍晴明は朝廷の指示には従わなくてはいけなかった。でも、それでもどうしようもできない案件はあった。それこそ、朝廷絡みの問題なんてものもあったわ。それらを処理していたのが、蘆屋道満だったの。
朝廷の者達の中に妖怪を操り至福を肥やす輩とかもいたそうよ。そんな人たちに天誅を下すのが、蘆屋一族の仕事だった。非公式の陰陽師集団って感じね。
そして、そんな家業だったものだから、当然朝廷や世間から恐れられるし疎うとまれる。
いい事をしたとしても、悪い情報流すとかの情報操作が行われる。そんな感じで、今の歴史は作られているの。」
お母さんは蘆屋道満の子孫として、嫌な経験をした過去とかもあるのだろう。少し辛そうに話した。
「それでも、私たち一族や、安倍晴明一族はせめて彼の偉業を残しておこうと後世に伝えることにしたの。」
『そうだったのか。では、道満はやはり我が思った通りの人物であったのか?』
お母さんは頷く。
「ええ、それは間違いないわ。正直、結構汚れた仕事だし、世間からは疎まれる仕事だから、喜々としてやっていたわけではないみたい。でも、自分より腕のたつ安倍晴明を表舞台にたたせて、自分は陰から彼を支えるという気持ちで仕事を全うしたと伝えられているわ。」
『ッッ!?なに!?そうだったのか、事あるごとにつっかかってきたが、本心では認めていたのか…。』
「認めていたからこそ、認められなかったのかもね。安倍晴明が自分より上だと認めてしまったら、自分は隣で対等な存在になれないと考えたんじゃないかな?」
道満の心が純粋で強い事がよくわかった。
『そうか。確かに、いつも力比べをしていたが、一度でも負けを認めたことはなかったな。こっちからしたら憎まれ口を叩いているだけかと思ったが、そう考えると何故か腑に落ちる事があるな…。』
「だから、空亡さんと未来にはこの事を知っておいて欲しかった。未来に流れる血は蘆屋道満の血も流れているけど、決して悪いものではないのよ。」
「もちろん、そんな事は思わないよ!」
この話を聞いてそんな事は言えない!むしろ、そんな偉大な人の血をひけて誇らしい!
「ありがとう。お父さんは安倍晴明の子孫だから、蘆屋道満の事はもちろん知っていたわ。だから、昔、その事でからかわれていた時とかによく慰めてもらったわ。」
お母さんはそう言った事情でお父さんと一緒になったんだ。きっと救われたんだろうな。
お父さんも、整体師としての地盤を堅めるのに相当苦労したみたいだけど、きっとお母さんと支え合ってここまできたのだろう。
尊敬しちゃうなー。
「まあまあ、お父さんとお母さんの話はそんなところでいいじゃないか!!」
お父さんが少し照れくさそうに話を中断した。
「わかったよー!その話は後でね!」
お父さんを少しからかってみた。
『冗談はさておき、未来の体力も回復してきたようだし、そろそろ修行に入るか?』
空亡が修行について促してきた。
「それもそうだな。もうそろそろ始めても大丈夫そうだな。」
お父さんが空亡に同意した。
「そう言えば、お父さん。力の解放の時に蘆屋の力は感じたの?」
お母さんが質問した。私の力に道満の力も含まれているのかを確認してきた。確かに、2人の血をひくなら、晴明と道満の力を受け継いでいるはず。
「ああ、それは問題なさそうだ。親和性がいいのかうまいこと力がひとつになっているようだが、どちらの気配も感じる事ができる。」
そうなんだ。1000年の時を経て、2人の力が合わさるってなんかロマンチックだな!
「まあ、力を使うのに修行は必要だけどな!さて!始めるか!とりあえず、ここじゃあれなんで、もう一回整体院の方に行くか!」
お父さんと共に修行のために整体院にまた行くことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます