家庭を持つということ
同世代の友人達が家族を築いていく。三十歳を目前にして、流石に焦ってきた。このまま一生ひとりで生きるのは怖い。あと、自分のためだけに時間とお金を使うのに飽きてきた。家族のために金を稼ぎ、家族を守ることをモチベーションに生きたい。生きる目的を自分自身の外側に持ちたい。こんなことを思うようになるとは、少し前まで考えもしなかった。二十歳ころは家庭を持つことに何の考えも持っていなかったはずだ。歳を取れば人間は変わる。もし家庭を築くとして、同時に大きな責任が伴うのが怖い。結婚している同僚は、いつも奥さんと子供の機嫌を気にしている。まだ幼い子を持つ母親たちは、スマホをデスクの上に置き常にチェックしている。保育園から熱が出たから迎えに来い、と連絡が来ないか気にしているからだ。子供を持つと、幸せと同時に大きな心配がついて回る。
自分は父親が不在の家で育ったため、もし父になったとしても「こうしたらいい」というモデルになる人間がいない。円満な家庭など作れるのだろうか。今は自分のことで割と精一杯だというのに。でもその立場になったら覚悟は決まって上手くやるのかもしれない。これから先、例えば十年後、この文章を読み返してこんな時期もあったな、と笑えるようでありたい。
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