ゼミ室の思い出

 大学3年の秋から翌年の春にかけて、就職試験の勉強のために大学のゼミ室に通っていた。長細いスペースに広い机があり、卒業生が置いて行った家電がやたら充実していたゼミ室。同じ試験を受ける友人もいたため、毎日朝から晩まで通い詰めて一緒に勉強していた。何の話をしたかはあまり覚えていないが、かなり居心地の良い場所だったと思う。誰かが生協に買い出しに行く時はついでにお菓子を頼んだり、院生の先輩が差し入れをくれるついでに愚痴をこぼしに来たり、2つ隣のゼミ室がずっと麻雀をしていることを羨んだり、そんな感じだった。卒論が全然仕上がらず、泊まり込んでいる先輩をからかったり(結局単位が足りず留年していた)、夜はみんなで酒を飲みに行くこともあった。仲の良いゼミだったと思うが、毎日集まる必要はなかったのにあんなに全員が一緒にいたのは、要はみんな暇で寂しかったんだと思う。あのタイミングで新しくサークルに入ったり、バイトを始めるのは面倒なので、惰性でゼミの人間関係に依存していたような気がする。それでも大学3年〜4年の一時期、濃い時間を過ごしたあの小さなゼミ室は、とても大切な居場所だった。

 自分が卒業してから数年後、教授が大学を離れるタイミングでゼミ自体は消滅したようだ。あの部屋はいまどうなっているのだろう。

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