告白を促される親友の話

はい。松園とは僕の事です。のうのうと人生を歩いているコミックボーイです。漫画とは素晴らしい作品だと思うのは、単に小説がキライなだけなのだ。ふはは。

とまぁ、別に装う必要もないキャラ設定に自ら突っ込んでいくスタイルは昔からであった。漫画を読めば登場人物の性格になりたいし、なってみたいし、この世のどこかを楽しめそうで、そこに自分の考えなんて必要ないし、とにかく気楽で、生きやすい。

「松園くん。三橋さんに興味ない?」

これはこれは親友の榊君ではないか。ペルシャ猫でも飼ってそうな名前からして、時に彼は暴君になる。

「いや、これっぽっちも興味はないかなぁて」

僕は突き返す。ここで、はい好きな人ですだなんて嘘か本当かわからないような、ただ人生を面白くする返答なんて、漫画の中以外しちゃだめだと思うのよ。

話を聞けば、彼が元々好意を抱いていた娘らしく、既に自分は鞘に収まっているので、お前にあてがうぞと、端的に言えばそんな風だ。

あー、どこかで聞いたことがある話だなぁと。ありがちでは堪らんが、あってもおかしくない状況で、何も違和感などは感じないが、ただ不服である。こういう場合、フラれた彼女が主人公で、好きな相手に許嫁がいるけども、結局はなんやかんや結ばれてハッピーエンドな流れなのよ。それを何だ。僕を何て言う箱に収めようとさせてるのだあいつは。曰く付き物件にのうのうと暮らせるか愚か者。それでお互い幸せになれると思うのかリア充めが。

とかく、面倒事には関わりたくないし、早く帰って新刊読みたいし、現世はとうに捨てているのだ。

何故って? 榊の今カノが好きだったからだよ死ね。二度死ね。生き返るな。三度死ね。

 

 少々取り乱してしまったことをお詫び申し上げます。人に死ねなど言語道断。さておいて状況を整理しようと思いますの。コミックボーイ松園(僕)を軸とすれば、親友の榊、榊の彼女、そして榊に玉砕した女の子三橋。彼はこの僕様に三橋さんと付き合って欲しいと願う。だがしかし、僕が好きなのは榊の彼女であって三橋さんではない。アダルティな展開を望むのなら僕が彼女らを振り回しなんやかんや出来そうな展開ではあるが(語彙力に難あり)僕は漫画は好きだが漫画みたいな展開は好きではない。人はことわりの上で生きている。それを外すものなら人外と等しく、区別されるべき存在となる。道理とは、誰かを虐げることではなく、自ら正しいと自信を持って言える事実であり、己が朽ちようとも、そこにある必要がある。

 とどのつまり、僕は万人の願いを受け止める救世主とならなければならないのだ(完)。

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