第21話 休み前の恐怖
学校の雰囲気はピリついていた。
緊張感が漂っていると言った方がいいのかな。
イベント前と長期休み前の
今はその対策をしている。
「わっかんねーよー!」
「叫ぶな」
テスト勉強だ。
教室には何人か残って勉強しているし、図書室に行けばもっといる。
塾に通っている人達はそちらに。
もちろん学校が終わればさっさと帰宅して勉強する人もいる。
俺は家で1人で勉強したい派だが、竜二は毎度のことながら赤点すれすれだから、助けを求められる為に、俺は親友と一緒に勉強をする。
「だいぶ理解してきたな」
「全ては
「気色悪い言い方やめろ」
「いいじゃーん」
じゃれるな、ますます気色悪い。
抱き着いてきた竜二を俺から離した。
力が意外とあるから無理くりになる。
「明日は
「まあな」
ニヤリと笑う竜二。
幸せそうなニヤニヤだな。
「宙弥はあれか、
「誰とも勉強なんかしない、単独だ」
テストは元を正すと個人戦なのだ。
ただ学級担任からしたら団体戦なのだろう。
他クラスよりも平均点は上の方が良いからな。
各教科だとノルマのようなものがあるのかな。
目安はあるかもしれん。
それより下回れば考えなければならないから、結局教師とは大変なのだ。
多忙と言われる職業だから、部活の監督は外部に頼んだり、週休2日制にしたりしているのに改善されないのは不思議な話だ。
ブラック職業と言われたらおしまいだな。
大人の世界は厳しいな、あーやだやだ。
「これなんだけど」
「ん?」
竜二の学力が上がることを願いながら、彼の分からないに付き合う。
※
竜二との勉強会を終えた後、もう少し勉強をやろうと図書室に来た。
個室の所に入り、鞄を置いてから椅子に座る。
「はぁ…」
この部屋に着くまでが疲れた。
“『意味わかんない』”
“『眠いー』”
“『テスト落ちそう』”
“『ああああああああ』”
“『そろそろ帰ろうかな』”
テスト勉強を真剣な顔でやっているはずなのに、心の中は違うようだ。
“『早く帰んないかな』”
カウンター奥は貴重な本が置いてある倉庫で、そこに図書館司書の先生がいて、常にドアは開いている。
だから聞こえてきた。本音が。
早く帰りたい気持ち、そうだよな。
俺も当番の時なんて毎度思う。
こんなことしているより、他のことにエネルギーを使いたいと。
だがあの委員長様とペアなので逃げられない。
そんなことを考えていると眠くなってきた。
最近、一段と寒くなってきていたから、あたたかい所にいると眠気が襲ってくる。
眠気に撃沈する前に鞄から参考書とノートと筆箱を出して勉強を再開した。
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