第11話 休み明けの片付け
休み明けの学校は平和に感じた。
イベントの空気から日常のいつもの空気になっていて、俺はそれが心地良く思えた。
若干の筋肉痛はあるものの動けないわけではないから、これからやる片付けもこなせるはずだ。
※
「その椅子はそっち、テントはこのままで良いって」
結局俺は片付けをしなかった。
その分、僭越ながら指示出しをしていた。
学級委員が最初にやっていたが、本部の呼び出しで居なくなり、路頭に迷うだろうなと思っていたが「これどこだっけ?」と
去年の前期のみ体育委員だったから片付け場所を覚えていたから役立った。
その後は他の場所の手伝いに行ったり、教室に戻ったり、各々好きなように動いた。
俺は教室に戻ろうと思ったが止めて図書室に向かった。
中に入るとそこは本がズラリと並んでいる。
隙間はほぼない。
紙の匂い、インクの匂い、棚の木の匂い、なんとなく良いなと思う。
奥へいくと個室が2つ、少し広い小会議室が1つある。
俺はその個室に入って鍵をした。
「はぁ…」
やっと開放された。
とても煩かったから疲れた。
無駄話などではなく、ダルいだめんどいだの心の声に押し潰されかけた。
まあ唯一、初めて癒やされた一言は。
“『
雄叫びは置いといて、まさか雨宮さんの心の声が救いになるとはな。
頭おかしくなったかと自分で自分を疑ったが、そんなことはないと思った。
それは俺に対する感情以外に、他の人にもこうだ。
“『
“『久しぶりに出来た!これも先生のおかげ!』”
“『なんか後輩を助けたらめちゃめちゃ感謝されちゃったー♪』”
普段は落ち着いていて大人しいのに、心の内は常にポジティブなのだ。
そして誰かに感謝をするし、思いやりがあって、本当に良い子なのだ。
こんな子を放っておく男は居るのだろうか。
え?俺?違うだろう。
俺はあの子に何にもない。拒絶ではない。
そう、全く何にもないのだ。
だから、適切な良い距離感を保てるのだ。
騒がしい声から遠ざかり、遮断された空間にいるからか、だんだん眠くなり、自然と眠ってしまった。
起きると昼休みになっていたから、4時間目の歴史はサボりとなり、先生に呼び出しくらって、こっぴどく叱られたのだった。
反省文3枚はキツかった。
その日のうちに書き上げて提出して許してくれたのは良かった。
帰りはすっかり暗くなっていたが、誰ともすれ違わずに静かな帰り道に、毎日こうだと良いなとぼんやり思いながら帰宅した。
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