第7話 体育祭 Part2

「好きな料理は何?」

「えーっとー」


 弁当の特訓の為なのか、俺の好きな料理を雨宮あまみやさんは聞いてきた。

 答えないわけにはいかない、素直に言おう。 


「美味しければ何でも」


 そう、食に興味はない。

 美味けりゃなんだっていい。

 雨宮さんはそれを聞いて数秒考えてから、次にこう言った。


「じゃあ、嫌いな食べ物は?」


 嫌いな食べ物はー…あっ、1つだけある。

 子供っぽいかもしれないから恥ずかしいが、聞かれたことには答えざるを得ない。


「生野菜」

「野菜?」

「生はダメだ」


 炒めたり蒸したり茹でたり焼いたりした、熱を通した野菜であればかろうじて食べられるが、生だけはダメ。

 苦くて嫌になる。

 ラーメンに切っただけのネギや洋風にあるパセリ、添えられたキャベツなどは必ず残す。

 サラダなんか手を付けない。

 それだけ苦手なのだ。


「分かった!ありがとう!」


 雨宮さんはどころかへ行った。

 去り際に一言。


“『生の野菜が苦手…可愛い!』”


 どこがだよ!



 あと1週間と迫ってきた体育祭。

 これが終わると寒い12月に文化祭が待ち構えている。

 この高校は大型イベントを2学期にまとめてやるため、受験生の3年生にとってはハードである。

 だから3年生は体育祭は参加をするが、文化祭は不参加となる。

 が、個人的にまたは部活に所属していると文化祭の参加は叶うわけで。

 ということで、2年生である俺は帰宅部なので、個人的に文化祭に出ることはないから今年で最後となるのだ。

 俺はイベントへの熱量はそんなにないが、周りのみんなは気合いは十分。

 眩しいくらいに。

 どこから湧き上がるのかその熱量に不思議に思いながら、準備を進める。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る