第3話 予想外の状況
予想外だった。
土曜か日曜に連絡がくる程度だった。
質問攻めもなく、たわいない会話で終わっていた。
「あれ?何だこの気持ち」
寂しいような、ぽっかり穴が空いているような、予想外過ぎて複雑な気持ちになる。
スマホからは心を読み取ることは出来ない為、更におかしな気持ちになる。
いつの間にか俺は文字を打ち送っていた。
『土日だけ話してるけど、気を使ってんの?』
初めて俺から送った。
きっと浮かれているはずだ。
自惚れているかな。なら恥ずかしいから撤回しよう。
※
雨宮
毎日連絡するのは、さすがにドン引きかなと思って遠慮をしていた。
土日だけ連絡していても、物足りなさはなく、話せることが幸せな気持ちになっていた。
はぁ…恋人への道程は険しいなぁ…。
前進しているはずなのに、1歩どころか半歩にすら届いていない感覚は拭えない。
何がダメなのか。悩んでしまう。
ピロン♪
メッセージが届いた知らせの音がスマホから鳴った。
誰からだろう、そんなことを思いながら開く。
「えっ」
目が点になる。
驚きを通り越して固まる。
数秒後、じわりじわりと湧き上がる熱き想いを感じながら叫んでいた。
「
初めてきた、彼からのメッセージに勇躍歓喜し、大興奮の末、鼻血が出たのはここだけの話。
冷静になった頃に返信した。
「宙弥君、好き…」
※
『毎日は迷惑かなーと思っていたから』
なるほど。常識はあったんだな。
が、何故だ。何故、俺の心は落ち着かないんだ。
おかしい。変なもの食べてないはずなんだが。
『そっか。なら、これからもこのペースで』
『りょうかい』
敬礼している謎の白い可愛らしいキャラのスタンプと共に返信が来た。
“このペースで”
なんで言ったかな。
なんていう後悔を一瞬だけして、スマホを閉じた。
知らない間に、俺の心は変化していたんだな。
もしかして、雨宮さんの努力次第で俺はー…。
いや、ない、絶対に有り得ない。
変なことを考えないようにしよう。
机に向かい、ノートと参考書を開いて勉強を始めた。
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