第2話 策略に引っ掛かる
友達の策略にまんまと引っ掛かった。
経緯はこうだ。
※
「
「何?」
やたら話しかけてくるようになった
それもそのはず。先週の件で面倒くさい状況になってしまったのだから。
仕方がない、諦めてはいる。
が、休み時間の度に迫ってくるから怖く感じてしまう。
"『ちゃんと会話している、キャーッ!』"
実際の彼女と心の彼女は別人のようだ。
心の彼女は表に出てこない。
実際の彼女はおしとやかな感じだ。
困ったものだ、本当に。
人からの好意は嬉しくないは嘘になるが、しつこいと大変だ。
こんなことが毎日続き、下手をすれば昼休みも一緒になるのではないかと危機感を抱く。
そんなことを考えていると「篠宮君、聞いてる?」と雨宮さんが俺の顔を覗き込んだ。
うっ…ただでさえ見た目は可愛いから、つい油断しそうになる。
近づかないでくれ、揺れてしまう。
すると「ゆきー」と気だるげに雨宮さんを呼ぶ女子生徒がきた。
「なにー
ショートヘアにキリッとした目、気だるげにしている脱力系女子。
「また篠宮にベタベタしてんじゃん」
「違うよ!グループに入ってほしいって言ってたの」
「あーはいはい」
俺もそのことかと思い出す。
文化祭と体育祭が来月にあるからグループに入ってほしいとのこと。
全クラスメイトが入るグループであれば了承する。
拒否する理由はない。
「篠宮、スマホ貸して」
「何で」
「いいから」
圧が凄い…。
久尾の鋭い視線に耐えられず、スマホを渡す。
早速彼女は指を高速で動かし数分後、スマホは無事に返ってきた。
「ゆき、ちょっと」
「えっ、うん…。またね篠宮君」
「ああ」
2人はどこかへ行ってしまった。
スマホを確認すると、目が飛び出そうになった。
グループの他に雨宮さんの名前であろう"ゆきこ"が友達リストにあった。
まんまと引っ掛かった。
俺と雨宮さんはスマホでも繋がってしまったのだった。
※
雨宮
想良の後を着いて行くと自販機コーナーに着いた。
「どうしたの?」
「んー?」
想良は自販機の前に立って缶コーヒーを買った。
「何か飲む?おごるよ」
「いらない」
「あっそ」
近くにあった椅子に2人並んで座る。
「あのさ、篠宮をグループに突っ込んだついでに」
「うん」
「ゆきと篠宮を繋げといた」
「えっ」
慌ててブレザーのポケットからスマホを出して確認すると"しのみや ひろや"が友達リストにあった。
「想良…何で…」
「見てらんないなと思ったから」
クールに見えて、本当に優しい親友に私は嬉しくなる。
「ありがとう想良!」
「うわっ!危なっ!」
想良に感謝を伝えようと思って抱きついた。
篠宮君に避けられているのはなんとなく分かっていた。
でも、避けられてもやっぱり好きなのは消えない。
彼はきっと忘れている。
私が篠宮君のことを好きになったきっかけを。
これからは篠宮君に、毎日は流石に引かれるから土日だけでもやりとりしようと思う。
たくさん話していけば、思い出してくれるかな。
親友が繋いだきっかけを無駄にしないようにしようと思った。
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