第27話 綾香とお出かけ (冬野視点)
立花くんの家に行った次の日のお昼頃、昼ごはんを食べ終え少し休憩した私は夏休みの宿題をやろうしていた時だ。
突然家のインターホンが鳴った。
誰だろ....。
私はインターホンの方に向かった。
綾香....?
カメラには笑顔で映る綾香の姿があった。
私はマイクを音にし話しかける。
「綾香どうしたの?」
『千里、遊びに行こ!』と元気な声で誘ってくる綾香。
「今から?」
『うん、そうだよ』と綾香。
どうしよう髪もボサボサだし何も用意出来てないし....。
「綾香ちょっと用意に時間かかるけど良い?」
『うん、もちろんだよ。急に誘ってごめんね』と綾香。
『なんか千里と出かけたくなったんだよ』と続けた。
「じゃあエントランスで待ってて、すぐ準備していくよ」
私はそう言いドアの鍵を開けた。
『ありがと、全然急がなくていいからね』と言い綾香はエントランスに入っていった。
私は急ぎ洗面所へと向かった。
綾香ちょっと急すぎるよ!それがいいところでもあるんだけど....。
何で今日に限ってこんなに寝癖すごいの!
私は櫛で髪を強引にとき何とか寝癖を治すことが出来た。
といている途中何度も髪に引っかかったせいで頭が痛くなった。
服を着て荷物を持ち家を飛び出した。
エレベーターの下に着くと楽しそうに待つ綾香の姿があった。
「お待たせ───」
「早かったね千里」
うん、すごく急いだもん....。
「いやーごめんね急に来ちゃって」と明るい声のまま謝る綾香。
「暇だったから全然良いよ。それでどこ行くの?」
「かき氷!」と綾香。
「かき氷....?」
「うん、夏祭りまで我慢しようと思ってたんだけど....たまたま抹茶のかき氷の画像見たら食べたくなっちゃって.....」と苦笑する綾香。
「千里、抹茶好き?」と続けた。
抹茶───。抹茶!
「うん、大好き!」
私は一気にテンションが上がり飛び切りの笑顔がこぼれた。
楽しみだなぁ抹茶。
「それなら良かったよ....」と嬉しそうに微笑む綾香。
※
そうして綾香に連れられ目的地へと着いた。
たくさんの人で賑わう商店街だ。
店を探しあがら私たちは商店街を歩いていた。
「ここかな....」と綾香が足を止める。
そこには和風な店構えをしたかき氷屋さんがあった。
「じゃあ入ろっか」と綾香。
「うん!」
私達は店の中に入った。
席に座り綾香の言っていたかき氷を頼んだ。
しばらく待っているとかき氷がきた。
わぁ〜!美味しそぉ〜。
見ただけでふわふわそうな氷に抹茶がかかっておりあんこと白玉が横に添えられていた。
「美味しそうだね」と笑顔の綾香。
「うん!」
私も笑顔でそう返した。
「じゃあ食べよっか」
私たちは揃ってかき氷を口へと運んだ。
「美味しぃ〜」
「美味しぃ〜」と綾香と同時にそう言った。
濃厚な抹茶の味が口に広がり私はすごく幸せな気持ちになった。
綾香は美味しすぎたのかバクバクとかき氷を口に運ぶ。
そんな一気に食べた....!
すると綾香は急に驚いた顔をした後。
「頭がぁ〜」と言い手で頭を抑えた。
「ふふっ、一気に食べ過ぎだよ」
私は笑ってしまった。
「だってすっごい美味しいんだもん」と綾香。
そうしてかき氷も半分近く食べ終えたくらいの時綾香が急にこんなことを言い始めた。
「千里、和樹の家行ったんだってね」
───っ!?
「何で綾香知ってるの?」
綾香の衝撃的な発言に私は驚いた。
「楓姉ちゃんからメールで聞いたんだ。相当気に入られたみたいだね」とニヤつく綾香。
楓さん何で教えちゃうんですか───!私は心の中でそう叫んだ。
「それでどうだった和樹ん家?」と興味津々な綾香。
「なんかすっごく居心地良かった....」と私は昨日のことを思い出した。
「だよねぇ〜和樹ん家なんか居心地良いよね」と綾香。
「綾香も行ったことあるの....?」
「うん、小学生の時はよく行ったよ」
「へぇ〜....」
この時何故か少し胸がざわついた。
「一回お泊まりした時もあったな」とサラッという綾香。
今何て言った....?お泊まり...おと───。
「───お泊まり!?」
私は驚きで少し大きな声を出してしまった。
お泊まりってまさか二人で───。
心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
するとその言葉を待っていたかのようにして綾香は顔をニヤつかせ。
「悠真と和樹の三人でね」と言った。
何だ三人でかぁ〜。
私は何故かものすごく安心した。
「それで和樹とはどうだったの?」と綾香。
「何も無かったよ」
楓さんと話してたし....。
「ほんとにぃ〜」と私を見つめる綾香。
「ほんとだよ」
私は平然とそう答えた。
恥ずかしがったら綾香調子乗っちゃうからね。
「ふ〜ん、でも楓姉ちゃん言ってたよ。千里を送って帰ってきた和樹が嬉しそうにしてたって」とニヤつく綾香。
送った後....?
───っ!!私の脳裏にある記憶が浮かんだ。立花くんの家にまた行っていいか聞いた時のことだ。
顔が熱くなるのを感じると同時に立花くんも喜んでいたということに嬉しさを感じた。
「やっぱり何かあったんだぁ〜」と綾香。
「何があったの?」と続けた。
「言わないよ....」
こんな事言えるわけが無い───!
「もしかして和樹にまた来てとか言われたの?」と綾香。
「───なっ!?」
反応しちゃった───!
行きたいと言ったのは私だが綾香の言ったことがそこそこあっており驚いてしまった。
「へぇー和樹がそん事を....」と驚く綾香。
「ち、違う....」
私は咄嗟に否定してしまった。
「どこが違うの!」とすかさず聞いてくる綾香。
「言わない....」と私は綾香から視線を逸らす。
「えぇーどうして?」とからかってくる綾香。
だんだん昨日の出来事を鮮明に思い出してきそれと同時に鼓動が早くなる。
すると綾香が何かに気づいた顔をし口を開いた。
「あっ!もしかして千里が言っ....んっ───!?」
───っ!?
私は綾香が言い切る前に自分のかき氷をすくい綾香の口に突っ込んだ。
綾香は反射で口を閉じた。
「あ、綾香....からかわないでよ....」
私は真っ赤になった顔のまま綾香を見つめた。
何で綾香すぐに全部見抜いちゃうの───!ほんとに心臓に悪い....。
すると綾香はスプーンを口から出して「ご、ごめん....」と言った。
この時何故か恥ずかしそうな顔をし私から視線を逸らしていた。
(千里の恥ずかしがる顔みたらこっちも恥ずかしくなっちゃったよぉ〜)
それから綾香は和樹の事には触れなくなった。
かき氷を食べ終え私たちは店を出た。
「美味しかったね」と綾香。
「うん!」
後半から立花くんの事気にしすぎて味わかんなくなっちゃったけど....。
でも来てよかったなぁ。と私は満足していた。
「これからどうする?」と綾香。
「ちょっとだけ商店街みてかない?」
私はそう提案した。
「良いねそれ!」と綾香。
そうして私達は商店街を回った。時に帽子を見たりお菓子を見たりとすごく楽しかった。
しばらく周り帰ろうと商店街を出よう引き返しているとくじ引きがやっているのが見えた。
「千里、最後にあれやって行こ」と綾香。
「うん、良いよ」
そうして私達はガラガラの前に向かった。
「二人やってくかい?」とそこにいたおじさんが話しかけてきた。
「はい!」と綾香が言った。
「よし!じゃあ回してみろ。一等はハワイの旅行券だぞ」とおじさんは言った。
「ハワイ!」と目を輝かせる綾香。
すると綾香は真剣な顔をしガラガラを回した。
「こい!ハワイ旅行券!」と綾香は念を入れる。
そうして出た玉は白色だった....。
綾香は悲しげな顔をし「これ一等ですか....?」と弱々しい声でそう言った。
「すまんな姉ちゃんティッシュだ」と申し訳なさそうにポケットティッシュを渡すおじさん。
「く、くそ....」と悔しそうにティッシュを握る綾香。
「千里頼んだよ」と続けた。
「じゃあ回すよ....」
当たれ───!
私はそう思いながら回した。
すると赤色の玉がコロッと落ちた。
あれ...?これ....。
「おぉー!姉ちゃんすごいな二等だぞ」とおじさん。
「すごいじゃん千里」と驚く綾香。
旅行券じゃないんだ....。と私は少し残念でもあり当たった事が嬉しくもあった。
「二等はスイカ一個だぞぉ」とおじさん。
「良いなぁ」と綾香。
「綾香にもあげるよ」
「ほんと!」と目を輝かせる綾香。
多分一人じゃ食べきれないだろうし.....。
スイカはおじさんに頼んで配送にしてもらった。
私もスイカは好きなので結構嬉しかった。
そんな事もあり家の近くまで帰ってきた時には日が沈み始めていた。
「今日はありがとね千里、楽しかった」と笑顔で言う綾香。
「私も楽しかったよ。またいつでも誘ってよ」
「うん、もちもんだよ。それじゃあまたね」と手を振り綾香。
「バイバイ」と手を振り返す。
綾香と別れ私は家へと帰った。
何だかんだ今日は楽しかったなぁ。
こうして一日は終わった。
※
そうして次の日、家にスイカが届いたのだが....。
大きい───。
思っていた以上に大きく私は驚いていた。
やっぱり人じゃ食べれないなぁ。
綾香にあげるって言ったけどそれでも無くなんないよぉ....。
私はどうする考えているとある事を思いついた。
そうだ!立花くん。
私はすぐに立花くんに連絡を入れた。
少し戸惑っていたけど貰ってくれるらしい。
良かったぁ〜。と私は安堵した。
少ししてから取りに来るって言ってたよね。
私はスイカを小分けにしようキッチンに持っていく。
重い.....。
やっとの思いでキッチンに置いたとき腕がパンパンになっていた。
これ筋肉痛だなぁ〜。私は自分の非力さにため息をついた。
するとインターホンが鳴った。
立花もう来ちゃった───!と私は急いでインターホンへと向かった。
───えっ....何で....。
私はインターホンに映る顔を見て背筋が凍るのを感じた。
何で....兄さんがいるの....?
私はインターホンの前で立ち尽くした。
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