第21話 お弁当 (冬野視点)
よし、これで完成。
私はみんなに頼まれたお弁当を作っていた。
みんな喜んでくれるといいな....。と期待していると視界に時計が映った。
───あ!行く時間になってる。
私は焦り行く準備を済ませ家を飛び出した。
エレベーターに着いた時ちょうど一つ上の階にあり私は急ぎボタンを押した。
よかった....近くの階にあって。
エレベーターのドアが開き私は乗り込んだ。この時私は前を見ておらず誰かにぶつかってしまった。
「ごめんなさい」と顔を上にあげる。
誰か乗ってたんだ気づかなかった。
「あれ、冬野さん」と聞きなれた声が聞こえた。
「立花くん....」
そうエレベーターに乗ってたのは立花くんだったのだ。
なんだまだ来てなかったんだ.....。と安堵の息を吐く。
昨日約束し一緒に登校する事になったのに言い出しっぺの私が遅れるのは良くないと思い急いでいたのだ。
「良かったよ。待たせてると思って急いで来てたんだ」と立花くん。
立花くんもそうだったんだ....。
「私もお弁当作ってたらいつの間にか時間経ってて焦っちゃった」
「そっか。なんかごめんね」と立花くん。
「別に謝って欲しいとかそんなんじゃなくてただ作るのに夢中になっちゃってたんだ」
立花くんの返答に私は焦り訂正する。
「そっか。じゃあ期待してるよ冬野さん」とニヤリとする立花くん。
「うん!期待してて」
ほんとは今も少し不安なんだよなぁ。特にハンバーグ....。
そうしてたわいもない話をしながら私達は揃って学校に向かった。
教室に入るといきなり私に誰かが話しかけてした。
「おはよう千里」と元気に笑顔を見せるなって綾香だ。
「おはよう綾香」
すると綾香がニヤリとさせ口を開いた。
「あれ〜もしかして二人一緒に来たのぉ?」
「───えぇっ!」
一瞬でバレてしまい私は驚きでこえがでた。
「そんなわけないだろたまたま会ったんだ」と立花くんが言った。
「そ、そうたまたまだよ....」と私も言う。
「ふ〜んたまたまかぁ〜」と全く信じていなさそうな綾香。
「まっ、そういう事にしといてあげる」と綾香は続けた。
これ...絶対バレてるなぁ。まぁ綾香にならいっか。
すると綾香が顔をハッとさせ口を開いた。
「そういえば千里お弁当作ってくれた?」
「うん、作って来たよ」
「ほんと!」と目を輝かやかせる綾香。
「ほんとだよ」
「やったぁー!楽しみ」と満面の笑みを見せる綾香。
※
ある休み時間私は綾香たちのグループに呼ばれた。
「ねぇねぇ冬野さん部活とか入る気ない?」と北条さんが言った。
「部活?」
「そうそう確か冬野さんってどこにも入ってなかったよね」と北条さん。
「ええ、入ってないわね」
「じゃあさバレー部入らない?」と北条さんが誘ってきた。
「───えっ!」思ってもいなかった誘いに私は驚いてしまった。
「綾香もいるし楽しいと思うんだ」と北条さんは付け足す。
「えぇずるいよ美香」と一人の女子が言った。
赤髪のショートカットに赤色の丸い瞳の少女。名を花野 京香(はなの きょうか)と言う。
「早い者勝ちだもんねぇ」と勝ち誇った様子を見ける北条さん。
すると花野さんがバッと私の方に顔を向けて口を開いた。
「ねぇ冬野さんバスケ部はどう?」
「えっ....えっと....」
私は返答に困っていた。
「ほら冬野さんバレー部に入りたいらしいぞ」とニヤつく北条さん。
「そんなわけないよ」と花野さんは言い返す。
そうして二人はお互いを見つめだしバチバチになっていた。
「ふ、二人とも...」
そもそも私、部活入るなんて言ってないし....。
それに....入っちゃったら立花くんと帰れなくなっちゃう───。
でも友達が誘ってくれてるし部活の雰囲気も少し気になったり。でも運動出来ないし....。やっぱり立花くんとの放課後を無くすのは何だか寂しいしなぁ。
私はどうするかものすごく考えていた。
すると隣にいた綾香が口を開けた。
「もぉーダメだよ二人とも千里放課後は勉強で忙しいんだから」
「綾香....?」
「だよね千里!」と私の方に向く綾香。
「う、うん....ごめんね」
私はみんなの方を向いて謝った。
「そっか...それは仕方ないよ」と優しく微笑む北条さん。
「まぁ毎回のテストで一位とるんだったら部活なんて入ってる暇ないよね」と花野さん。
私は綾香にしか聞こえない声で「ありがと」と言った。
すると綾香がニヤリとし耳元でこう呟いた。
「そりゃあ和樹との放課後は欲しいもんね」
───っ!!な、なんでそのこと知って───!
私は一瞬にして顔が真っ赤になった。
「な、ななんでその事を───」と思わず声が出てしまった。
「それはねぇ秘密」と綾香。
「そんな顔赤くしてどうしたの冬野さん」と北条さんが言った。
「もしかして好きな人の話?」と目を輝かせる花野さん。
「聞きたい聞きたい」と北条さんが目を輝かやかせ私を見つめてくる。
周りからものすごい視線を感じたのは気のせいだろうか....。
「そんなんじゃないよ!」
私は思わず大きい声を出してしまった。
※
そうしてお昼の時間となり私達は昨日と同じ屋上でお弁当を食べる事にした。
「はい───」
私はみんなにお弁当を渡した。
皆一斉に弁当箱を開ける。
「わぁー!美味しそぉー」と綾香が言った。
「だな」と高橋くん。
『いただきます』と皆が声を合わせそう言った。
私は何でか緊張していた。
皆食べ物を口に運ぶ。
「うまっ」と国賀くんが言った。
「うん、めっちゃうまい」と高橋くんも続けた。
「千里この卵焼きすっごい美味しいよ」と目を輝かせる綾香。
「ありがと」
私は思わず笑みがこぼれた。
良かった喜んでくれた....。
そういえば───。と私は立花くんの方を見た。ちょうどハンバーグに手を出しているところだった。
そうしてハンバーグを口へと運ぶ。
「うまっ」と驚いた顔をする立花くん。
よし!私は小さくガッツポーズをした。
「こんな美味しいもん作れるって冬野さんすげぇな」と国賀くんが言った。
彼は既に弁当を平らげていた。
「ありがと」
「こんなに美味しいなら毎日作ってもらいたいなぁ」と綾香。
「それはさすがに悪いだろ」と立花くんが言った。
「えぇーだってそうしたいぐらい美味しいんだもん」と綾香。
「....それは確かに」と納得してしまう立花くん。
その言葉が私はものすごく嬉しかった。
「もし良かったら作るけど」
私はそう言った。
「ほんとに!!」と目を輝かせて喜ぶ綾香。
「立花くんも作ってあげる」
すると恥ずかしそうに「お願い....」と言った。
「あれぇ〜もしかして和樹、冬野さんのお弁当独り占めにしたかったのぉ」とニヤリ顔でいじる綾香。
「んなわけないだろ!」と立花くん。
「ほんとにぃ〜」と綾香。
「何が言いたい」と睨みつける立花くん。
「別にぃ〜」と何か見透かしたような目を立花くんに向ける綾香。
それがなんだか面白くて私は笑ってしまった。
私は最近学校がすごく楽しく感じる。きっと友達が増えたからなんだと思う。
それに会いたい話したいそう思える人が出来た、その人と一緒にいる時私はすごく心地いいと感じる。一体この気持ちは何なのだろう.....。
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