第11話 一位は.... (冬野視点)

私が彼とテストで競いたかった理由それは彼とやりたい事があったから。


半分勢いで彼に勝負を挑ませた私はもちろん勝つ気満々だ。


彼と本当は話したいし一緒に帰りたい私はその思いを押し切り家で勉強をした。その合間にあることを考える。そう勝った時の頼み事だ。


何にしよっかなぁ。これを考えてる時だけは少し楽しい気分になった。


そうして始まったテスト、私はこれまでに無く緊張していた。だって負けたくないもの。


そうして二日、三日すぎていった。


その間私はほとんど立花くんと話せていなかった。


そんな夜私はふと思った。彼と話がしたいと.....。


気づいた時にはもう彼に電話をかけていた。


『もしもし』と久しぶりに聴く立花くんの声。


「あ、もしもし」


その声が聴けて私は何だか嬉しかった。


『どうかした?』


立花くんにそう聞かれた瞬間───私は我に返った。


あれ?私なんで立花くんに電話したんだっけ?


「いや、別に...」


私はそう言うと『ならほんとにどうして....?』と立花くんは聞き直してきた。


ど、どうしよ.....勢いで電話しちゃったし.....何も思いつかない!!

───仕方ないほんとの事言うしかないか....。


「あ、えっと....最近話せてなかったから....その」


は、恥ずかしいぃ〜。私は電話をしてしまった事を後悔しそうになっていた。


「もしかして寂しかったとか?」と立花くん。


寂し.....かった?私....。


頬が熱くなるのを感じた。


私はベットに飛び込み一人悶絶した。


何やっての私!こんなの.....こんなの....うぅ〜。


少し離れたところに置き去りにしていたスマホから


『だ、大丈夫冬野さん?』という声が聞こえた。


私はすぐさまスマホを取り「だ、だだ大丈夫ぅ」と平常心で言おうとしたが盛大に噛んでしまった....。


それを聞いて立花くんが笑っている声が聞こえた。


恥ずかしいよぉ....。


『それでほんとにどうしたの?』とまた聞いてくる立花くん。


絶対面白がってる....。


「別に何かある訳じゃなくて.....あぁもうだめ......ごめんなさい!」


恥ずかしさが限界を迎え私は電話を切ってしまった。


その後しばらくの間布団に潜り悶絶していたのは内緒にしていて欲しい。


もう勉強できないよ.....。



そうしてやっとの思いでテストが終わり立花くんと久しぶりに帰ることにした。


彼は「いつもよりはできてるぞ」と自信なさげに言っていた。


これは勝てる───。私は勝ちを確信した。これでこれで私のしたいことが出来る....。立花くんと遊びに行ける!


そう私は立花くんとお出かけがしてみたかったのだ。


べ、別にデートとかじゃ無いし.....ただ遊びたいだけだから良いよね.....。


どこ行こっかなぁ〜。





そんな呑気なことを考えながら迎えたランキングの発表日。


う、嘘でしょ.....。


一位にいたのは何と立花くんだった。私は二位、5点差で負けてしまった。


「あ、僕勝ってる」と安心したように言う立花くん。


ま、負けた....。これじゃあ立花くんとお出かけ出来ない。私は少し泣きそうになってしまった....。


私の心はその事でいっぱいになっていた。


心無しか周りの人達が私から少し距離を置いているような気がしたがそんなのどうでもいい。


どうしよ約束しちゃったしな。立花くん何頼んで来るんだろ.....。



その放課後私は彼に聞くことにした。


「それで立花くん頼み事は?」


この時私は悔しくて少し拗ねた態度をとっていた。


「べ、別に良いよ....何も思い浮かばないんだ」と私の拗ねてる顔を見てか遠慮する立花くん。


「遠慮なんてしないで勝負は勝負だもん」


すると立花くんは少し困った顔をし口を開いた。


「.....わかったよ少し考えさせて.....」


「じゃあ明日まで待ってあげる」


先延ばしにしたら立花くん無かったことにしそうだし。



そうしてその夜私は連絡が来ないかとスマホをチラチラと見ていた。


やっぱり来ないか.....。私は半分諦めていた。


───そんな時だスマホが鳴った。


私はすぐさまスマホを取り電源を着けた。


立花くんだ....!!


彼からのメールを見て私はものすごく嬉しい気持ちになり『わかった!』と送った。


こんな偶然あるんだ....。


彼からきていたメールの内容は『遊びに行こう』だった。


楽しみだなぁ〜。私はベットの上で静かにはしゃいだ。

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