第10話 始まった中間テスト

そうして一週間前、僕は勉強を始める事にした。


冬野さん最近遠慮が無くなってる気がする....。


信用してくれるのはありがたいが彼女の考えている事がいまいち分からない僕にとってはそれが少し怖かったりする。


やるか....。いまいち乗り気がしないが負けたら何されるか分からないので仕方なく僕は机に向かう。


その瞬間スマホが鳴った。


誰からだ....。僕はスマホを手に取り電源を入れる。


悠真から『お前冬野さんと仲良いってほんとか?』と送られてきていた。


何でこいつ知ってんだ....。


『それどこ情報だ』と送った。


すると『綾香』と返ってきた。


やっぱりあいつか....。僕は深くため息をついた。


仕方ないあいつに言われたんなら誤魔化しが効かないな。


『確かにみんなよりは仲良いかもな』と僕は送った。


『マジ、付き合ってんの?』と悠真。


『付き合ってない』


あんな人と付き合えるわけないだろ。


『確かにそうか(笑)』と悠真。


『用はそれだけか?』


『最後に一つ』


『何?』


『冬野さんとデートとかしないのか?』とそんな事を悠真は送ってきた。


『するわけないだろ!』と僕は送りスマホの電源を切った。


冬野さんとデート....か。

───いや無いな。


勉強しよ....。僕は机に向かった。





そうして迎えたテストが当日。ここ数日冬野さんとは極端に話す事が減り睨み合うことが増えていた。それぐらい僕も彼女もいつの間にか本気になっていた。綾香はそんな事気にもせず話しかけてきていたが....。


そうして一日目の教科を受け終わり家に帰った。


いつもよりは解けたな.....。ま、当然か。


冬野さんはどうだったんだろ....。僕はスマホを手に取った。


今日の帰り僕が帰る用意を済ませた時には彼女は帰っていたので話すタイミングが無かったのだ。なので僕は彼女にテストの調子を聞こうと思った。


いやダメだ。冬野さんの事だ確かめたら僕のモチベーションを傷っていきそうだ。


僕は冬野さんと連絡取る事をやめた。


そうして二日....三日と過ぎた。その間冬野さんとはほとんど話しをしていない。


そんな夜だった。


スマホが鳴り僕は電源を着けた。


───え....。冬野さんからだ。


予想外のことに僕は一瞬戸惑った。


冬野さんから『今大丈夫ですか?』そう送られてきていた。


僕は何だ何だと思いながら恐る恐る『大丈夫』と送った。


───するとその瞬間冬野さんから電話が掛かってきた。


え、電話!?僕は突然の事に驚きスマホを落としそうになった。


「もしもし」僕は冬野さんからの電話を取った。


『あ、もしもし』と明るい声でそう言う冬野さん。


「どうかした?」


僕がそう言うと少し間を開けて


『いえ、別に...』と言う冬野さん。


別に?どういう事だ。


「ならほんとにどうして....?」


僕がそう言うと冬野さんが少し黙った後口を開けた。


『あ、えっと....最近話せてなかったから....その』


え、それって....。


「もしかして寂しかったとか?」と僕は冗談交じりでそう言った。


『.......』


冬野さんが何か言っているようだったがよく聞こえなかった。


「だ、大丈夫冬野さん?」


『だ、だだ大丈夫ぅ』と絶対大丈夫じゃない呂律を披露する

冬野さん。


僕は面白くて笑ってしまった。


「それでほんとにどうしたの?」と僕は面白がってまた聞いた。


『別に何かある訳じゃなくて.....あぁもうだめ......ごめんなさい!』


冬野さんはそう言い電話を切った....。


冬野さん絶対今顔真っ赤だろうなぁと僕は思った。

てかほんとに何で電話かけてきたんだ....。


そんな不思議な冬野さんが気になり僕は完全に集中力が切れてしまった。


まさかそういう作戦なのか───。僕はそう思ってしまった。


そんなアクシデントもありつつ五日目ついに長かった中間テストが終わった。


この日はすぐに帰らず席に座っている冬野さん。


僕も帰らずクラスから人がいなくなるのを待った。


「じゃあね和樹、千里!」と綾香が言い別の友達と帰っていった。


冬野さんは小さく手を振っていた。


そうしてクラスから人が居なくなり僕達だけとなった。


すると冬野さんが口を開いた。


「何だかすごくひさしぶな感じがする」


「確かに二週間ぐらいあんまり話してなかったな」


すると冬野さんがカバンを持ち僕の方へと近づいてくる。テスト中だったので席が離れており隣同士ではなかったからだ。


すると微笑む顔で僕を覗き冬野さんは口を開く。


「久しぶりに一緒に帰ろ」


「わかった...」


僕は席を立ち上がった。


学校を出て帰路につく。周りにはもう生徒の影はなかった。


まだ誰かいると思ったけど案外すぐ帰るんだな....。


すると「テストどうだった?」とニヤリ顔で言う冬野さん。

 

「当たり前だがいつもよりは出来てるぞ。そう言う冬野さんは?」


「完璧だよ」とドヤ顔になる冬野さん。


やっぱりそう言うと思った....。


「勝ったら何頼もっかなぁ」と冬野さん。


「勝つ前提か....」と僕はツッコミを入れる。


正直勝ててるとは思はないがもし勝ててたら何か頼めるのか。そんな事全く考えていなかった僕は何してもらうかを少し考えた。


だめだ、思いつかん....。





そうして掲示板にランキングが張り出される。


これだけは言っておこう四日目のテストは僕も冬野さんも何故か他の日と比べて少し点数が低かった....。








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