オマージュ ⚔️

かつてその世界は

花の都と呼ばれ

とても平穏な場所だった

人々は花を愛し、

囀ずる小鳥たちの声に耳を傾け

毎日楽しく暮らしていた。


そこには、

外の世界で傷を負った者

心に刺が刺さってしまった者

寂しかった者など

色々な事情を抱えた者達も集まってきていたが皆肩を寄せ合い、励ましながら暮らしていた。そこでは誰も差別などする者もおらず

仲良く平和な時間が流れ、ましてや戦争などという恐ろしいことは、誰も想像すらしなかった。

ソレが現れるまでは──


ある時、ソレは何処からか突如現れた。

初めは、ただの黒い点・でしかなったが

徐々に染みのようなものとなり、黒魔術のように人々の心を蝕み、怖れられる存在となっていった。

それを阻止しようと何人もの勇者達が戦いを挑んでみたもののソレを押さえ込み、排除することは出来なかった。そればかりかソレは力をつけ、どんどん闇は広がってゆき、この世界は闇に覆われた世界となった。


闇の世界では、人々は争いを好むようになり、戦争が絶えることはなかった。

光の当たらなくなった世界では、草花が枯れ

農作物も育たなくなり、人々は困窮していた。


そこでこの世界を救おうと立ち上がった者がいた。古より代々続く名家でその家からは

名だたる何人もの勇者を輩出していた。その家の息子であり、この世界きっての実力者である彼は、たった一人で闇に戦いを挑んだのである。

彼は正義を愛し、悪を嫌う為、この世界を覆っている闇の存在を憎んだ。

どんな手段を使ってでも、この世界を守ると心に固く誓った。それほどまでに彼はこの世界の人々を愛していた。



それから、闇との戦いは何年も続いた。

勇者はその間、沢山の傷を負った。一時はその命も危ぶまれたが彼の意思は強く、何度でも立ち上がり決して諦めることはしなかった。

その勇敢な姿を目にした神は彼に『神の手』と呼ばれる1本の剣を与えた。

キラキラと光輝く刃は、目が覚めるほど美しく、切れ味も抜群で闇をバッサバッサと薙倒し、闇を排除していった。



────


勇者はこの世界から、闇を一掃した。



世界は平和を取り戻し、人々はかつての安心した暮らしを取り戻すことが出来た。

そして彼は、一からまた新しい世界をつくることにした。

自ら荒れた大地を切り開き、種を撒いて

沢山の作物、果物、美しい花ばなを育てた。



やがて彼を応援しようとする

人々も集まり、それに加わり

豊穣の国となった。


人々は、彼を『ユートピア』と呼び、皆感謝し讃えた。彼はそれに喜びこの世界に名を与えた。『カクヨム』と。

皆は彼の意志を引き継ぎその信仰は世界に広まった。そして後世にもこの話は語り継がれた。


彼こそが、『伝説の勇者』、その人であり、

最高のエンターテイナーである。



彼の意志を受け継ぐこの世界の人々へ


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