パワーと技術とのバランス

 かくしてMoto2の決勝がスタートです。個人的推しは昨年ここで見事優勝を飾った小椋藍選手。この日もしっかり予選2番手に付けています。

 Moto3と比べると……やはりMoto2マシンはデカいですな。これをねじ伏せるにはある程度の体格も必要。そういうマシンです。観戦に当たっては目で見るだけでなく、もてぎのコースレイアウトを頭に叩き込んだ上で、エンジン音の聞こえてくる「位置」から現在ライダー達がどこを走っているのかを推測し、目の前を通過するタイミングを計算する。その作業が通好みです。これはマシン性能にあまり差がなく、隊列が密集気味になるMotoGPシリーズならではの手法ですかね。クルマで差が付く四輪のレースではこうはいきませんでした。

 小椋選手はスタートで3位にポジションを落としたものの、3周目のS字でオーバーテイクを披露し2位奪還。私が見ている前で魅せてくれます。トップは小椋選手のチームメイト、チャンドラ。そのまま「チーム出光」が頭一つ抜きんでた感じで、後続との差を着々と広げていきます。

 Moto2ではMoto3のような、集団で固まっての走行シーンはこれまでのテレビ観戦の経験からも稀です。マシンが、そしてライダーが速ければ自然と前に行く! このへんはMoto3よりずっとシンプルな展開であり、レース戦略です。

 S字の切り返しに関しては、大柄な車体と決まり切ってない足回りによる、わずかに一拍「ため」を作るモーションが見て取れました。

 そのままファイナルラップを迎え、チャンドラと小椋選手との間はちょっと取り返せない差が付きました。これはあとはもうコケてくれるなよってなもんです。そのまま出光1-2でチェッカー。3位に総合ランキングで首位に立つアコスタが入りました。


 そのアコスタについてもちょっと語っておきましょう。とにかく昨シーズンMoto3で走っていた時から、この選手、圧倒的に速くて強くて別格のオーラを放っていました。今シーズンMoto2にステップアップしても速さは健在。今回3位に終わったのも、前二人は地元だし総合争いにも関係ないし、無理して追わなかったのかなーと言う印象を受けました。もうワタクシ言い切っちゃいますよ。「アコスタは近い将来、MotoGPの王者になる!」。

 ……と言っていたら、日本GP後に入ってきましたよ情報が。アコスタ、来シーズンはいよいよMotoGPにステップアップです!


 本番のMotoGP決勝に向けてまたもや観戦ポイントを移動し、ヘアピンに向かいます。ほんとうはV字コーナーも押さえておきたかったのですが、ここは指定席なのですな。

 道中V字付近の屋台村でおやつを食べている間に、世界戦ならではの「儀式」がまたひとつ。自衛隊ブルーインパルスによるデモ飛行です。

 ……しかしこれ、個人的にはエアレースで活躍する室屋選手に任せてほしかったところ。二輪からだとコネが通りにくいのですかねえ。ヤマハ→トヨタ→レクサスとたどって、なんとかなりません?

 あとは自衛隊の飛行だと、どうにも記憶にある米軍(インディカー)のデモフライトよりも地味で迫力に欠けるというか。パイロットの技量の差か、それとも日本らしく安全マージンを多めに取っているのか。

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