探求編あらすじと解説文
○探求編あらすじ
反乱から4年、リィアに落ち着いたセラスの元にキオン・スキロスを名乗る謎の青年が現れる。彼はフォンティーアとシェールに会わせるよう要求し、クルサ家に連れて行くと彼の正体が4年前に失踪の末に死亡扱いとなったリィアの第二王子のフォルス・リィア・ラコスであることが判明する。
フォルスはシェールを脅して再度失踪したティロについて調査をすることになった。互いのティロに関する情報を交換し、更にティロに縁のある人物から詳しい話を聞き出すことになる
上級騎士時代の話をしにゼノスがシェールの元を訪れ、フォルスと再会してティロが生きていることを知る。ゼノスはティロが左腕で剣を持っていたと証言し、右手で持っていたはずだというフォルスと見解が食い違う。他にも様々な食い違いなどがある中、ゼノスは反乱の前夜、ちょうど軍本部に放火される直前にティロと会っていたという。ゼノスはティロを止められなかったことを後悔していた。
後日ビスキからシャスタがやってきて、ザミテス殺しに協力したと思われるリオを伴って聞き込みが始まる。シャスタとリオは予備隊でのティロの様子を話し、これまでわかったことなどへの矛盾点を指摘する。更にシャスタは再度ティロを捜索したいとフォルスに願い出る。
一通り話を聞いたフォルスはティロの出身地だけでも確定させたいと思い、資料にあるティロが捕らえられたとされるビスキの警備詰所へ行く。そこでティロを取り調べた監察官に会って当時の様子を聞く。特に新しい発見もなくリィアへ戻ると、エディアの災禍の被害者にティロ・カルディアという少年がいたことをシェールが発見していた。早速フォルスはエディアに調査へ向かうセラスについていくことにする。
〇探求編リンク
https://kakuyomu.jp/works/16817330656813658108/episodes/16817330662525543863
○キャラ動向
フォルス/キオン(16)
今作最後に登場する重要キャラです。これで役者は全て揃った。
ティロに誘拐されてコール村からリィアを脱出し、その後ふらふら生きてきて再びリィアに戻ってきました。その理由は「旅の途中で消えたティロを探すため」でした。何故彼がこれほどまでにティロのことを執拗に知りたがるのかというと、本人曰く「どうしても彼に言わなければいけないことがある」そうで、それを言うためにも彼が一体何者だったのかを知る必要があるそうです。ここまで何故ティロに彼が執着しているのかというのもこの作品全体に通じるテーマがありますが、それが判明するのは大分先になります。
シェール(31)
すっかりフォンティーアの補佐官として丸くなってるシェールですが、フォルスに脅されてティロ探しに協力させられることになります。加えて、彼自身が欠番王族としてフォルスの身の上に非常に理解があることも彼の面倒を見る上で欠かせない要素になっています。
そしてセラスの指摘通り、何かとティロと被る特徴を備えていることが判明します。特に「年齢の割に子供っぽい」「危なっかしくて見ていられない」ところはセラスから見るとかなり似ているそうです。更にティロの関係者から話を聞いていくときにやたらとティロの境遇に共感しています。フォンティーアが号泣するほどの過去を持つシェールが共感するほどの何かがあるようです。
セラス(23)
リィアですっかりその地位を不動のものにしている天才剣士ですが、将来のことにいろいろ迷いがあるようです。彼女の中では「私よりも強い人と結婚したい」という思いがあり、そして望み通り「私よりも強い人」が現れたのですが剣技以外は人間として一緒にいることを迷うような人物である上に、彼女? らしき存在を置き去りにして勝手に王子を誘拐して失踪するという最低のムーブメントをかましているためにセラスの中でいろんな思いが宙ぶらりんになっていました。今後、その気持ちに整理をつけられるかというのが彼女の物語になってきます。
フォンティーア
シェールの新しい飼い主。思いの外リィア王家並びにラコス家とフレビス家に憎悪を抱いていることが今回わかりました。彼女自身はフォルスの顔を見ないようにして自身の憎悪を押さえているところがあります。そこまで恨まれるダイア・ラコスがどんな人物だったのか、というのは今後明らかになります。
ゼノス
久しぶりに登場したティロの拾い主。ティロのことは、経歴書から何か事情のある革命孤児であると思っていたようです。積怨編でゼノス自体は革命孤児であるというよりも特務落ちからの自殺未遂をかなり気にしていたみたいで、反乱編ではティロが死んだと聞いてかなり落ち込んでいたみたいです。死んだと思っていた人が生き返るのもなかなか心臓に悪そうですね。
更にティロの話を聞いていくにつれて彼には強い自責の念と後悔が存在していることが明らかになりました。全体的にゼノスのせいでは全くないのですが、それでも関わった者としての責任を感じてしまうほど彼は多少追い詰められているようです。今後この後悔とどう向き合うかというのが彼の物語になります。
シャスタ(28)
古くからティロを知る貴重な人物。ティロ以前に彼自身もかなり屈折した過去を持っているのですが、ティロ同様なかなか語ろうとしません。シェール同様かなり複雑な事情があるみたいです。そしてリノンとは無事に結婚できたみたいです。よかったですね。
懐旧編で孤児院を4つたらい回しにされて最終的に予備隊に送られたとありますが、リオの言うとおり気に入らない職員を拷問にかけただけではなく理不尽に他の子を傷つけるような行為を取っていたための措置でした。それまで訳のわからない組織で飼われていたというのが彼の言い分ですが、どんな生活をしていたのかというのは端的に言えば反乱編でリクが「タチが悪い」とドン引きするくらいの生活です。どうにも無理矢理山登りをさせられていたみたいです。その辺もそのうち、わかるかもしれないです。
シャスタにはティロに関して同じキアン姓としての疑問がかなりあるみたいです。彼は様々なことがティロに近い存在と言うことで全容編ではいろんなことが語られる予定です。
リオ
特務の捜査員にしてやはり古くからティロを知る人物。ライラやシャスタに次いでティロのプライベートな部分を知る者として登場するのですが、どうにもティロは夜に女の子と二人にならないといろいろ口を開かないのですね。彼女が何をやって予備隊に入れられたのかなどは、全容編でいろいろわかるので楽しみにしておいてください。
ちなみに上級騎士と「朝まで一緒にいた」というのは彼女くらいになればその気にさせなくても話術だけで時間を稼ぐことも可能なのでそういうことはしていません。
ティロ
そういうわけで今回も全く登場しない主人公ですが、いろんな角度から話を聞くことで復讐や反乱以前にかなり不可解な行動をとっていることがわかりました。さて、彼は一体何者で何がしたかったんでしょう? この探求編までで彼の正体は推測可能になっています。正体がわかると、不可解な行動の理由と何がしたかったのかの半分くらいはわかるようになっています。もう半分は……本人から聞くしかないですね。
○内容解説
《第1話》
「フォルスはどうやってリィアに帰ってきたの?」
→放浪生活4年間の知識を培って何とか帰ってきました。これは特に本編に関係ないのですが、フォルスは何とかして雑な身分証を作って再びコール村から「手土産」を持ってリィア領内に帰ってきました。そこで日誌は見せてもらったらしいです。世の中金ですね。
「指を二本立てる」
→何やら怪しい仕草です。察しのいい人なら一体なんの弱みを握られているかを今までのことから推測できると思います。明言してもいいのですが、現実でも明言するのはかなり憚られることなので彼らも直接は言及しません。この二本指の正体はすぐにわかります。
「たまには素直に謝ってください」
→これは小ネタですがシェールは滅多に謝らないというか、「俺のせいじゃないからな」というのが癖になっています。実際において大体その通りなのですが、そう言われてもセラスとしては「黙っていてごめん」という言葉が欲しかったはずです。何でシェールがそんな考え方をするのかは、やっぱり彼の根本的なところが深く関わってくるので、セラスはあまり責めることはしません。
「詐欺」
→残念ですが、これはリィアにいる頃からティロは事件編では見えないところでやっていました。こういうことを日々せこせこやっていたのでトライト家で財産まるごと搾り取るという最悪なことができたのです。ただ、何故彼がそんなことをしなければならなかったのかという話になると少し事情は変わってきます。ちなみに、何故リィアにいる間に発覚しなかったのかというのは、ティロが編み出した極悪なメソッドの存在が関わってきます。それには彼の生育歴が大きく関係してくるので、やはり彼の正体を暴かないといけません。
「酒はたまに原液を一瓶一気に空けて地面に転がってました」
→この世界はどんな酒でも基本的に水で薄めて飲む習慣があります。ティロのこの飲み方は現代日本で言うと鬼ごろしのパックを持ち歩くとかでかいペットボトルの焼酎あたりをそのまま流し込むみたいなイメージです。
「話が早いですね」
→これは作者が話の展開を早くしたいということでもありますが、元からシェールは物事の全体像を把握しようとする能力には優れていたということとフォンティーアの元でこき使われ、もとい鍛えられた根回し能力が発揮されたということです。後は早くこの件を何とかしてフォンティーアの機嫌を取りたいというものもあります。
「最高機密」
→シェールは「訳がわからないから最高機密」と言っていますが、多少わかりにくいのでここで補足をすると「ティロがトライト家の件に関わっていることを公にすると、ティロの素性を探る者たちによって親衛隊の件ひいてはフォルス生存の件まで公表しなければならなくなる可能性があり、それによって引き起こされる面倒な出来事を考えるならいっそ黙っていた方がこれ以上誰も不幸にならない」という考えからきています。それを一言で言ったのが「訳がわからないから最高機密」です。
「トリアス山の死神の真相は?」
→復讐や反乱などもそうですが、ティロの大きな謎としてこのトリアス山の死神問題も存在しています。しかも今回はリィア側にはオルドで『死神』と呼ばれた存在がいたことすら記録されていないことが明らかになりました。トライト家の復讐と反乱だけ見ると死神の謎は関係なさそうに見えるのですが、ティロ視点で見るとこの死神騒動こそが全ての引き金レベルで最悪な事件です。つまり「人一倍頑張ったのに一切認められないどころか何故か処分を食らう」という生き埋めに匹敵する超絶理不尽な出来事だったみたいです。
「ティロとシェールが似ている?」
→休暇編でセラスがやたらとヤキモキしていましたが、どうも全体的な雰囲気が似ているようです。つまり、セラスが休暇編で何やらドキドキしていたのは恋愛感情じゃあなかったみたいですね。よかったですね。
「セラスはティロのことをどう思っているの?」
→これは割とこの話全体に繋がる話になってきますが、読んでわかる通り単純な乙女心なんかでは片付かないかなり複雑な心境があります。セラスの中ではティロと向き合うことは諸々の事情でなかなかハードな話になってきます。今のところセラスの事情があまり表に出てきていないのですが、これには存在しか示唆されていないシェールの妹が絡んでくる複雑なものになっています。
《第2話》
「ティロは革命孤児?」
→ゼノスは上級騎士時代のティロを見て革命孤児であると思っていました。革命孤児についてはゼノスから説明がありましたが、要はシャスタです。ゼノスはきちんと話してくれましたが、一言でまとめると「育ちが悪いために性格がねじ曲がっている」ということです。
「左手で剣を持っていた」
→これまで作中で誰も気にしていなかったために発覚しませんでしたが、ティロは右利きであるにも関わらず左手で剣を持っていたそうです。時折両手利きという人もいるので本編ではここまで誰も問題にしませんでしたが、ここに来てフォルスとセラスから「剣は右手で持っていた」という矛盾した証言が出てきました。ついでにライラに話したところによると「左腕を折られた」そうなのですが、それならますます右手で剣を持ちそうなものです。更にクライオでは右、予備隊では左で持っていたという証言が得られました。この食い違いこそ、ティロの全体像を見ていく上で大事なポイントになります。
「放火直前にティロは何していた?」
→完全に不審者大全開で遭遇したゼノスに真面目な殺意をぶつけてきたとのことで、彼は一体何を思ってそんなことになっていたのかは現段階では全くわかりません。それと、どうしてそのティロの心情をシェールが補足できるのかというのも気になるところです。セラスの言うとおり、やっぱり二人は似ているのです。
「煙草」
→マイルドな表現になってますが、この世界の煙草のスタンダードはニコチンではなくリネン製となっています。特に規制がないために吸う奴はみんなリネンを摂取しています。痛み止め(アヘンやモルヒネに近いもの)に頼っていたティロがリネン製の煙草を愛用していても何の不思議でもありません。
「養子」
→積怨編でゼノスが考えていた「ティロを上級騎士から引き剥がす算段」がこれです。とりあえず身の上だけでもキアン姓から解放してあげることが彼のためになると真剣に考えていました。ゼノスもティロが思った以上に追い詰められていることを感じ、責任を取るためにも書類だけでも彼の親になってやろうと思ったという経緯がありました。
「リィアにはいられそうにない」
→ゼノスとすればティロ個人のみならず、自分の軽はずみな行為が結果としてリィアという国自体をひっくり返す出来事を引き起こしたとなれば何かしらの責任を取らなければならないのではないかと思ってしまうのは仕方ないことかもしれません。
《第3話》
「無事結婚できたんだな」
→どこにも書く隙がないのでここに書いておくと、これは既成事実の発覚によりなし崩しにそうなったということらしいです。一応二人は愛し合っているらしいので夫婦関係としては問題はないのですが、父さんの気持ちを考えると、もう……。
「予備隊って……」
→今まで明言してきませんでしたが、要はそういうところです。つまり「予備隊出身」は現代日本で言うところの「年少卒」みたいなニュアンスです。ついでに言うと執行編でレリミアがティロに投げつけた「予備隊出身のキアン姓」は「前科持ちの親なし子」です。レリミアは予備隊について深くは知らないようでしたが、父や兄がそう言ってるのを聞いて蔑む言葉であることは認識していましたが、ここまでひどい言葉だとは思っていなかったと思われます。
「剣豪小説」
→現代日本で言うと野球少年が野球漫画読むみたいなものです。架空の剣豪の華麗なる活躍を書いたものも人気ですし、実在の剣豪の伝記なんかも大人気です。イメージとしては娯楽用のペーパーバックで大量出版されているもので、レリミアはそういう娯楽用の恋愛小説を一生懸命読んでいました。予備隊に置いてあった剣豪小説のラインナップは床屋や定食屋に置いてある漫画のようなものだと思ってください。
「言えないな」
→ずっとヤキモキしている読者と同様、この話を聞いた人は皆「ティロもお姉さんと同様……」と同じことを考えています。それに育ちが良くて年若いフォルスの想像がいろいろ至っていないところが露呈したということです。ついでにシャスタやリオはともかく、シェールもそういうことに理解があるということらしいです。
「あいつ絶対エディアで剣技やってたよな」
→シャスタもティロが災禍孤児ということは知りませんでした。実はこの予備隊での話を読むと勘の鋭い人は何かを察するのではないでしょうか。ヒントは休暇編にあります。その後執行編の遺言も踏まえると、ティロの正体にぐっと近くなります。
「キアン姓は犬なんか飼わない」
→「犬を飼っていた」という話が出たところで気になった人もいるかと思われます。懐旧編でわかるとおり、失声状態で強盗を繰り返すくらい酷い環境から抜け出してきているところで過去に犬なんか飼っていたのだろうかという疑問が出てきます。シャスタの言うとおり革命思想下におかれていたならば犬に名前はつけないそうで、これでティロが革命孤児であるという説はかなり薄れたわけです。しかし犬の名前くらいなら適当にでっち上げている可能性もあるので、フォルスは革命孤児説を完全否定できないでいます。
「死んじゃいますよ」
→予備隊の実態のところにもありますが、これは典型的な予備隊ノリです。それを知って二人は王子様のフォルスをからかっているところもあります。
《第4話》
「何で一番の関係者であるライラにもう一度話を聞かないの?」
→機密と言うこともありますが、ティロが失踪したのは自分のせいだとライラが思っているので、シェールがティロを思い出させるようなことは全部シャットアウトしているからというのと、自分の家族を殺された理由が「あいつを助けたかったから」という代表者たちが聞いても釈然としないほどふわっとしたものであるという話を聞いたフォルスが心中穏やかでいられないとシェールが判断したからです。
「どうせわかるわけないんだから」
→そもそもフォルスが何を考えてこんな大がかりなことをしているのか、というのがかなりの疑問点なのですが、彼の考えていることを正直に話してくれるわけでもなさそうなので、ティロを発見して「言いたいこと」を言わせるしかなさそうです。
「どうしてわざわざリクを呼び出したの?」
→最高機密を共有する者たちへの報告ついでです。オルドに帰ったロドンにもティロ探しの一件がある程度片付いたら報告する予定ではあります。
「考えたくもなくなるような、出来れば話をするのも避けたいような理由」
→実はここまで出てきた情報で頑張ればこの理由は推測可能ですが、テレスの言うとおり話題にすることも憚れるような事情があるみたいです。ひとつのヒントとして「フォルスには全くわからなかった」ということがあります。ただ事情が事情なので、本人を捕まえて本当のどころはどうだったのか教えてくれるまで待った方がいいです。
「なんで皆ティロを名前で呼ばないの?」
→これは関わった人物なら本人が名前で呼ばれるのを嫌がっていたというのを知っている名残と、ティロ・キアンという人物は書類上一度死んでいるからです。他にフォルスとしては彼を「レキ・ラブル」と認識してきたために混乱を避けるためになるべく名前で呼ばないというのと、あとシェールの「アレ」呼びに関しては他にもいろいろ理由があるみたいです。あともう会話の中で最初に名前を出してしまえば後は「あいつ」で十分だ、というのもありますね……。
「フォルスが勤めていることになっている新聞社ってどうなってるの?」
→新聞と言えば聞こえがいいですが、ゴシップ専門の現代で言う文春みたいなものです。特ダネをとって来るまで帰ってくるな形式の奴なので連絡があって「取材中です」と言えばどこにいてもいいみたいです。とりあえず彼は「名刺」が欲しかっただけなので記事を書くつもりも義理も一切ありません。そもそも自分自身が特ダネなんですがね……。
「どうにもこいつに申し訳が立たないんだ」
→シェールの言う「こいつ」が誰を指すのかは現時点でははっきりしません。有力なのは謎の「机の下から響く声」なのですが、氏名が不明であった過去のティロという解釈もできます。ここはシェールの過去とその心情がはっきりわかってから戻ってくるところです。シェールが「こいつ」と呼んだ存在こそ、ティロの存在を消し去ったり脅されながらもシェールがティロ探しを手伝ってしまったりした理由です。
○結局ティロは何がしたかったのか?
→ここまでで身元に繋がりそうなことでわかったことを整理してみましょう。
・予備隊に入る前から剣技を習得している
ティロと言えば剣なのですが、シャスタの証言から彼は予備隊に入る前から本格的に剣技を学んでいた可能性が非常に高いことになりました。ナイフ一本で警備隊員と渡り合ったり、ロッカー事件で訓練を受けた年上の少年を半殺しにするなど基本的な戦闘能力は元からあったようです。しかし、彼はそのことを敢えて隠していたとしか言いようのない言動をしています。
・エディア出身であるはずなのにビスキで捕獲されている
到底子供の足ではたどり着けないような距離を移動しています。彼は自身の証言通りエディアの災禍孤児なのか、状況証拠としてビスキの革命孤児なのか。テレスによると「なくはないだろうがあまり考えたいことではない」そうです。ゾステロやザミテスとの会話によると、エディアで災禍後に姉と埋められたことは確実ですが、これはフォルスとシェールは知らないので彼らは革命孤児説を捨てきれないでいます。そして何故彼が災禍孤児であると打ち明ける人とそうでない人がいるのかというところですが、これには共通点があります。それもひとつ彼を理解する上で大切なポイントになります。
・美人の姉が存在していた
ザミテスとの会話から姉共々埋められたことは確実で、本人曰く大変に美しい姉がいたようです。ただシャスタの指摘通り、指輪の話を始め彼の考えられる境遇とは一致しない不審な点が多々存在します。作中では「キアン姓なのに姉がいたり犬の名前を覚えている、そもそも犬を飼っていたというのがおかしい」そうです。また本人の証言によると「家族は姉を含めて全員死んでいる」とのことです。そしてほぼ徹底的にティロの心情を省いてきた本作ですが、どこかに彼の家族について書いてあるところがあります。そこに書いてある情報やシャスタの指摘を擦り合わせると彼が本当はどんな人物なのかが見えてきます。
・「ティロ」は本名ではない
レリミアやライラには明言していましたが、彼には他に名前が存在するようです。つまり、隠すべき事情が何か存在しているために偽名を名乗っているようです。そしてその件については誰にも語りませんでした。
・自分の話を誰かにしてはいけない
上記したとおり、ティロの正体はここまでの情報で推測できるものになっています。実は今回明らかになった話と思いっきり食い違うエピソードが過去に存在しています。そこから例の遺言の内容を組み合わせると、ある程度の結論が導き出せると思います。そしてその結論へ行くヒントは「誰にも言えない」ということです。逆に言えば、言えないのではなく話せない事情が存在しているわけです。さて、話してはいけないということは、逆に話すと一体どうなるのでしょうか? そう言えば身の上が明らかになるのを防ぐために嫌々何かをやってる人がいましたね……???
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