監視社会

よくある話だが、社会に監視されているようだ、と思ったことはないだろうか。


マイナンバーは、まるで囚人のようではないか。そういうと、別にマイナンバーに限ったことではなく、お客様番号、口座番号、なんにでも番号をつけて管理する。そのほうが分かりやすいし、まとめやすい。もれなくサービスをするには、当然のことだ。


インターネットもモノと繋がることによって、生活全般が、ネットの海に放り込まれることになった。ハッカー天国である。よいものを求めて発展していく。それに長じた人間にとって都合のよい仕組みが出来上がり、あとは、その人物たちの倫理観に欠けるしかない。法の規制は無意味とは言わないが、ネットは国を超えて、今でさえ、法の支配を逃れたところで、活動している人たちがいる。果たして、ネットに頼る社会は、明るいものとなるのだろうか。


名も知らぬ監視者に、知らず知らずのうちに全てを見られているかもしれない。


社会の闇は、生活の細部にまで滑り込んで、こちらを覗いている。


実に恐ろしいことだ。


監視者は、違法の道を進むものばかりでなく、権力者もまた、その可能性を含む。統治の名において、生活の情報をどんどん抜き取っていくかもしれない。捜査に必要とあらば、今も、情報を集めることができる。法によって護られるのは、統治の正統性なのだろうか。このネット社会では、その技術を持たざるものの受難はいかほどになるのだろうか。カメラ一台置いておくだけで、いや、スマホのカメラがいつもポケットにあるではないか。何気なく撮った写真の一枚が、自分のことをいかに多く伝えているかも考えずに、ネットにさらして良いものだろうか。技術を持つものの脅迫に怯え、過ごすことになるやもしれない。いや、知らぬところで、娯楽の一部として扱われているかもしれない。


ネットは、力あるものにとっての楽園である。


情報を扱いなれないものには、無力さを呪うこともできないまま言いようにされる場所である。


この格差を放置したまま、進んでいく。知っていながら、倫理と道徳に、秩序の行く末を委ねているのである。


力がものをいう野蛮なものを、社会の根幹に据えれば、荒れた場所になるのは、分かりきっていること。そして、その片鱗は既に明らかになっている。予測するのは、簡単なことだ。


いずれ、国を超えての捜査に条件づけがなされ、協力体制はしかれるだろうけど、それまでにどのような被害が産まれるのか、想像もつかない。それは、私が持たざるものとして、世の中を悲観しているからである。予測不能の事態を呼ぶものが、インフラとして整備されていく。


自分の目の前には、いつも力ある誰かがいる。


逃げ場のない社会だと思う。

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