第5話 入学式

学長「それでは式を始めます。各自席についてください。」




指示があったので皆席につく。




その後、入学式が開始され…例のごとく学長の長話が始まった…




しかしさすが貴族。誰一人寝ている者はいない。(当たり前だが…)




そしてクラス決めの時間になり、皆がそわそわしだす。




そこへ教師らしき人物が現れ、クラスを発表する。




エリート、エコノミーのグループに分かれていて、そのなかでクラスがある。




分かりやすく言うと王族、それに近い身分はエリート、それ以外はエコノミーとなる。




そのためサヤとレドは同じクラスになる可能性がある。




サヤ「なんとか同じクラスにならないと…無理やり引っ付いて婚約者アピールができない…それは免れないとだな…」




教師「クラスを発表する!一組は…」




サヤ(遂に発表の時…!お願い、同じクラスに…!)




教師「二組、レド・ナーリア王太子!以上である!」




なんと同じクラスになれなかった。




サヤ「そんな…プランが崩れちゃう…いや、急遽変更よ!あなたなら立派な悪役令嬢になれますわよサヤ・ラシュール!」




教師「そこ、静かにしなさい!」




注意されてしまった…




周囲に笑われる中、レドは静かに微笑んでいた。




レド(愛しいサヤ…悪役令嬢になれたか、見極めさせてもらおう…)




そして入学式が終わり、それぞれのクラスに入る。




サヤはエリートグループの三組となった。




教室に入り、各自名札が置かれている席へつく。




少し自由時間があったので身分が近い女性と話をする。




サヤ「あら…そのコロンは今流行りの物では?」




「わかりますか!?こだわっているんです…サヤ様のコロンは優しくフレグランスでとてもよろしいですね。」




サヤ「そうでしょう?特注のコロンなんです…よければ今度差し上げますわ。」




そんなこんなで話していると教師がクラスに入ってきて…




教師「私が君たちの担任を務めるレイモンドだ。よろしく頼む。それでは委員会決めの時間に移る。」




委員会は美化、清掃、勉学、委員長の四種で、委員長以外は十人ずつとなる。




レイモンド「やりたい委員会に挙手してくれ。」




サヤはもちろん委員長になろうとしている。




彼女ほど頭がまわり、色々な人々のことを考えられる人材はなかなかいない。




レイモンド「では…委員長になりたいものは挙手を。」




二人手を挙げた者がいた。




サヤと…成績が優秀なため特例でエリートグループに入った伯爵家のナラという女性だ。




二人でスピーチをしてどちらがいいと思ったかで決めることになった。




サヤ「私はサヤ・ラシュール、侯爵家でございます。私はこのクラスをまとめて明るく聡明な方々がそろうクラスにしたいですわ。そのために勉学はもちろんのこと、マナーなどもお教えできたらと思っております。」




クラスから拍手が起こる。




ナラ「えと…私はナラ・リナーラ、伯爵家です…私はこのクラスを身分の差別がなく皆が仲良く楽しく過ごせるクラスに…したいです。マナーはまだ勉強途中なのでどうかご容赦を…」




こちらにも拍手が起こる。




レイモンド「さて、どちらがよかったか挙手してくれ。サヤ・ラシュールがよいと思った者。」




半分以上が手を挙げた。




レイモンド「決まりだな。委員長はサヤ・ラシュールとなる。いい忘れていた…副委員長も決める。本人の希望もあり、副委員長はナラ・リナーラとなる。」




サヤ「ナラさん、よろしくお願いいたしますわ。」




ナラ「えと…よろしくお願いいたします…サヤさん。」




貴族界では身分が上の者には様をつけなくてはならないのだが…ナラはしていない。




マナーがなっていないと特定の女性貴族がピリピリとしている。




レイモンド「では、今日の講習はここまで。後は自由時間だ。友人を作るなり勉学のため図書室を利用することをおすすめする。では解散。」




終わった瞬間にナラの周りを女性貴族が囲む。




「ナラさん…?マナーはきちんと学ぶことをおすすめいたしますけど?」




ナラ「すみません…次からは気を付けます!花園の様子を見てみたいので失礼します…!」




ナラはそそくさと教室から出ていってしまった。




「まあ!なんと無礼な御方だこと…サヤ様、ご注意なさってくれませんか?」




サヤ「いいえ、誰しも最初はなっていないものです。見守りましょう…ナラさんは勉学が大変優秀な御方です。授業の時にはお世話になると思いますよ。」




一方…レドはというと…




レド「あぁ…疲れた…沢山の人に囲まれるのは苦手なんだよな…花園に行くか…」




レドを狙う女性や友人になろうとする男性貴族に囲まれたため疲弊していた。




これも王太子の定めというものだろう。




レドが花園を歩いていると…




ナラ「私は上手くできない…やってしまった…」




すすり泣くナラがいた。




レドはすかさずハンカチを渡す。マナー違反になってしまうため触れはしない。




レド「どうしたのですか?ナラさん。」




ナラ「私…いじめられたのです…サヤ様と取り巻きに…」




レド「!?」

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