第4話 王立学園
二人の婚約が正式に決まった。
レド「サヤさん…僕、頑張ります!いつか本当に振り向いてもらえるように…」
サヤ「レド様…私はいつか捨てられる者です…優しくしなくても…」
レドはサヤをお姫様抱っこする。
レド「いいえ!僕はあなただけを愛し続けます!本当に嬉しい…」
赤面するサヤにレドは微笑む。
サヤ「レ…レド様…降ろしてくださいませ…恥ずかしいです…」
手で顔を隠しながら覗いているサヤに心臓が強く脈打つ。
レド「こんなにも愛おしい婚約者を手放すわけがない。」
そう言いサヤの頬にキスをした。
二人きりとはいえ初めてのキスにサヤは混乱する。
サヤ「え!?今…私に!?なにをしたのですレド様!?」
レド「嫌でしたか…?」
サヤ「とんでもございません!嬉しいですが…初めては運命の人にとっておかないと…」
レド「運命の人…いつもそう言いますけれど、それはどういったものですか?」
サヤ「一目見たときから…心臓を撃ち抜かれたような衝撃が走り…幸せになってほしいと思う相手のことです!」
レドは悩む…どうしたらサヤにこの気持ちが伝わるのか…
自分の生涯をサヤに捧げる覚悟があると。共に国をつくってほしいと。
レド「どうして悪役令嬢?というものになりたいのですか?」
するとサヤは凛とした顔つきで…
サヤ「私はレド様の幸せを願っております…だからこそ私自身がそうするに値しないとわかっております。いつか出会う運命の人と添い遂げられるよう私は邪魔をするのです。」
レド「そうすれば僕が婚約破棄をすると…?」
サヤ「はい…私だってレド様と一緒にいたいです…でも、それは幸せにならない…今は幸せでも、いつかは不幸になります。」
そう断言し、サヤは頭を下げた。
サヤ「私をお許しください。レド様の幸せを願ってのことなのです。」
レドは少し拗ねたような顔で、
レド「二人きりの時はレドと呼んでほしいと言いました。サヤ…」
そう言いサヤの頭を上げる。
サヤ「申し訳ございません…レ…ド。ではルールを決めませんか…?」
レド「何のルールですか?」
サヤ「結婚の条件は先ほど言った通りですが…付け加えます。二年後の王立学園での生活で全てを決めてください。私は立派な悪役令嬢になるため努力します…!」
レド「あなたは何故自分が幸せになっていけないと思うのか…」
ボソっとレドが呟く。
サヤ「なにか質問がお有りで?」
レド「ふふ…何でもないですよ。わかりました、王立学園での生活であなたの悪役令嬢っぷりを見せてください!」
サヤ「やっとわかってくださいましたね!早速悪役令嬢になる練習をします。レド様はお帰りください!」
追い出そうとするサヤにレドは笑いながら、屋敷を後にした。
もう…そのことも二年前のこととなった…
サヤ「やっとこの日が来ましたの!学園の入学式…!ここでレド様に馴れ馴れしくするものを滅すれば悪役令嬢に…!」
サヤは目を輝かせて入学式の式場へと入っていった…
それはそれは見事な式場で、いたるところに施された装飾、彫られた石が飾ってある。
入った時にはすでにレドの前には行列ができていた。
王太子の目に少しでも留まろうとする貴族だろう。
サヤは一喝する。
サヤ「私の婚約者様に触れないでいただけます?」
式場はざわざわとし、人だかりになり始めている。
かつかつと靴の音を鳴らしながらレドの元へと近づく…
サヤ「レド様…私というものがありながら他の女性とお話されていたのですか?」
「なによあの女…いきなり来てずかずかと…」
「しっ…!彼女はレド様の婚約者よ…悪い噂など聞かなかったのだけれど…」
レド「久しぶりだなサヤさん。会いたかったよ。」
サヤ「なっ!会いたかった…って…冗談もほどほどにしてくださいまし!私のパートナーなのですからきちんとわきまえてくださいませ!」
早速レドに悪役令嬢を崩されつつあるサヤ。
学園生活は上手くいくのだろうか…?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます