ナイトハロウィン

ソノハナルーナ(お休み中)

第1話 まさかの他事務所からの引き抜き⁈

『あの、ナイトスターの柚李(ゆずき)です。よかったらライブ来てくだ...あっ、すいません』

僕の名前は柚李晴人(ゆずきはると)。

東京に来て10日が経った。

ナイトスターの社長さんが僕のTikTokを見てくれて、直接スカウトが来た。

僕は東京のことをよく知らなくて、ナイトスターというグループに入れば売れるという淡い期待のもと千葉県から上京した。

でも、実際はそんなに甘っちょろいものでもなかった。

ナイトスターには2つのグループがあった。

ナイトスターのワンズとボーイズの2つだった。

ワンズは主にテレビに出て、俳優や歌を歌う子たちでボーイズは主にワンズの補佐的な立場で研修生みたいなものだ。

僕がどっちかなんて説明してもなんとなくわかるだろ。

そう、ボーイズの方だ。

僕含めてボーイズは5人いる。

ボーイズは仲が良くてみんなで頑張ってる。

だけど、ワンズは違う。

ひとりひとりが自分が商品になっていることを知っているから、妬みや嫉みにそれから陥れようとしたりする。

だから、ボーイズたちはワンズに上がりたい気持ちもあるがワンズで酷いことをされても嫌だからと向上心というものがあまりない。

だから、誰1人としてワンズに上がったものはいない。

ワンズの人からは『お前ら万年ボーイズのままだな。ずっと、上がってくるなよ』

そんな吐き捨てられた言葉を言われたこともあった。

そんななかで、水面下で新チームを作るという話が持ち上がっていた。

そのグループに入る子たちはボーイズの中から選ぶと噂されていた。

そんなことを知らずに僕は今日もビラ配りをしていた。

夜も更ける頃に、僕のビラを初めて受け取ってくれた人がいた。

彼女は僕の目を見て話した。

『これに、あなたも出ますか?』

僕は女の子と話したことがなくてしどろもどろになりながら言った。

『えっと、出ないです。僕はあくまでもボーイズなんで。えっと、バックで補佐をする人なんで』

すると、彼女は少し悲しそうにもしながら言った。

『じゃあ、今時間ありますか?』

『いや、時間っていうかこれを配り終わらないと帰れないんですよ』

すると、彼女は僕の持っていた紙と僕の腕を引っ張って少し古びたビルの屋上へと階段を登って、彼女は下を見るなり満面の笑みで言った。

『ここなら、みんなあなたに気がついてもらえるよ。その紙ちょうだい。エイッ』

すると、紙はあっという間に風に仰がれて東京の渋谷を覆うように紙があちこちへ散らばり落ちていく。

上から降ってきた紙を歩く人は拾って見て捨てていく人がほとんどだった。

それを僕は上から見ていてハーッとため息をつくと、彼女は僕に1枚残ったビラを見せて言った。

『このグループ有名?』

僕は即答した。

『有名ではないです。ワンズさんさえ、他の事務所より劣ります』

『じゃあ、君はどうしたらこのグループ有名にできる?』

『まず、TikTokで名前を覚えてもらう。それから、魅力を出すためにYouTubeでミュージック・ビデオを作る。ライブをどんな形であってもすることが重要です。あとは、ワンズの人たちは人として認知の歪みを治すことも重要です。そうじゃないといくらボーイズたちがいい子でもワンズには上がりたくないからです』

彼女はパチパチと拍手をして言った。

『合格です。柚李晴人くん、私と一緒に世界を沸かせるボーイズグループを作りましょう。ちなみに私はトインエンターテイメントのマネージャーをしている相田莉子(あいだりこ)です。よろしくね』


まさかの他事務所からの引き抜きだった。

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