第45話 別視点 7
私は須崎瑠璃。いわゆる幽霊ってやつかしらね。大丈夫、怖くなんかないわよ?
さっきまで娘の琴美と夢の中でお話していたのだけど、時間が来てしまったみたいね、少しずつ意識が薄れて魂が浮き上がっていくのが分かる。もうこれで本当に終わり。
でも私は満足よ。普通ではあり得ない幸運に恵まれて、大切な人達と再び会うことができた。おかげで琴美ともたくさん話せたし、コウくんに噂のことを謝れたんだもの。
それにしてもコウくん、やっぱり格好良かったな。私が噂の元凶だったと白状しても少しも動揺することなく、逆にありがとうだなんてさ。惚れなおしてしまったわ。嬉しい言葉もたくさんもらった。私には勿体ないくらい。私の好きになった人は世界一素敵な人だって、改めて確信できた。
でもコウくん、この先ちゃんとやっていけるかな?意外と抜けてるところもあるから心配なのよね。琴美は……たぶん大丈夫、けっこうしっかりしているし。パパのことお願いね。
考えてみたら、私ほど幸せな女は他にいないのではないかしら?コウくんに恋をして、その恋が成就して、そのまま色褪せることなく恋し続けて死ねたの。これって女として最高の人生よね。
あぁ、『門』が近づいてきた。目にするのは今回で二度目。たしか、どこからともなく渋い声が聞こえてくるんだったわね。
「汝の名は?」
ほら、聞こえてきた。よし!いっちょ名乗ってやろうじゃないの!
「私の名前は須崎瑠璃。世界一の男に惚れて、世界一幸せだった女よ!」
◇◇◇◇◇
最後まで読んでいただきありがとうございました。
『娘に憑依した妻に叱られています。でもなんか幸せ』はこれにて完結です。
なんとか最後までたどり着くことができました。本当に本当にありがとうございます。
またどこかでお会いできる日を……一ノ瀬六葉
娘に憑依した妻に叱らています。でもなんか幸せ 一ノ瀬 六葉 @ichinose0608
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