第2話 Festin 祝宴

 

 前回のあらすじ。


 突如、アニエスとの結婚をする事となったツバキ。 ちょっと唐突すぎないかい? ネタ切れかい? ネタ切れのためのテコ入れってやつかい? それとも、いつまで経ってもチョメチョメできないから、無理矢理の展開なのかい?

 まあ、それはさて置き、どうやらこの世界の名付けは日本人で確定のようですな。

 いわゆるシンゴ氏の他にも日本からの転生者や召喚人がいるようだ。 って、そりゃそうでしょ? フィラリア侯爵の執事バトラーの名前がタチバナじゃん?

 気がつこうぜ? ツバキ君? そして今夜こそハメ…チョメチョメができるのか!?




      *




  俺たちは一度、ギルドを後にした。

 というのもシンゴ氏からの提案で、「ツバキ。 物には順序というものがある。 今更、確認の必要はないと思うが、アニエスにはツバキの心の内を話すとよいだろう。」と言われた。

 確かに、「ちょっとコンビニに行ってくらぁ!」的なノリで結婚はダメだよね…。


 そんな訳で、俺とアニエスは2人でオープンカフェに来ているのだ。

 

「あの、ツバキ。」

「あーっと、ちょっと待って。」

「はい。」

 ハイと言って下を向き、耳まで真っ赤にしているアニエス。


「アニエス。 えーっと。 アニエスはいつも一生懸命だよね。」

「そうでしょうか…?」

「初めて会った時からそうだよ?」

「はい…。」

「俺はね。 そんなアニエスのことが大好きです。」

「私もツバキの事をお慕いしてます。 初めて出会った時は…その…ヒュドラと一緒に奇声を出しあって変な方と思いましたが。」

「それ、覚えてるんかーい!」

「はい。 あとその、〇〇なんかーい! と言う言い方も変ですが、私にとってはそれも素敵です。」

「いやその、上眼づかいカワユスか!?」


 両手を太ももで挟み、いっそう上半身をクネクネとし恥ずかしそうにするアニエス。

 これは辛抱たまらん!


「アニエス、改めて言わせてもらうけど、俺と結婚してください!」

 俺はそう言ってアニエスに向かい左手を差し出した。


 周りにいたお客さんたちが、一斉に俺たちを注目している。


「ツバキのために我が身を捧げることを誓った身です。 ツバキのため、共に生きることを 豊穣神 ウカノミタマ様に誓います。 不束な身ですがよろしくお願いいたします。」

 アニエスはそう言って、俺の手を握り自分の額に持っていった。


 俺は立ち上がり、アニエスを抱きしめてしまった。

 だって、アニエスったら可愛いんだもん!


 ところでこの世界にもウカノミタマ様っているのかな?

 もしいたら、このパーティー名ってやばいんじゃね?




      * *

 



  ギルド内、飲食ブース。


 厳つい体格の男や、そこそこ厳つい体格の女性が、賑やかにしている。

 俺とアニエスの結婚を祝福してくれている訳だ。 てか、あんたらは毎晩、賑やかに飲んでますよね?


「アニエス。 急に結婚とか申し訳ない。」

「いえ。 私、アニエスはツバキの事を人柄や心の清らかさも含め、全てを尊敬し、お慕いしております。」

「ありがとう。 俺もアニエスを初めて見た時から、その容姿に目を奪われたよ。 今もそうだ。 褐色の肌も素敵だったけど、今の透き通るような肌も素敵だ。 そして何よりアニエスのハートはいつも俺のハートを温かくしてくれている。」


 俺とアニエスはお互いに、腰に手を回し、見つめ合いながら話をしていた。


「甘ーい! ハチミツに砂糖を混ぜたくらい、甘ーい!! もうやめて! まじクソやめて!」

 イリスが床ダンをしながら飛び跳ねている。


「確かに甘いですな。 ツバキよ、私の血糖値が上がってしまうから、そろそろやめてもらえぬか?」

「血糖値って、成人病だったんかーい!」

「がははは。 私は全属性持ちだから、病気になんてならないのだよ。 がっはははは!」

シンゴさん、泥酔かよ!


「ねねマスター! イリスだよ!」

「う、うん。 知っているよ。」

「明日は私とシンゴちゃんでダンジョンに行くから、2人はお休みしていてね。」

「2人って、大丈夫?」

「大丈夫だから、今夜は朝まで頑張ってね? イリスちゃん偉ーい!」

「はははは…。 あ、ありがと…。」


 やべー!

 ドキドキしてきたー!


 


 

 

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