11/3 だんまり
生首は、喋らせることもできる。レベルが上がってくると、マイ生首のページに入った途端に喋りかけてくれるようになるらしい。とはいえレベルは公式な数値で見えるわけじゃなくて、SNSでそういう言い方をする人が多い、というだけだ。ロジックは明かされていない。
生首を喋らせる方法は二つある。一つは、音声変換モード。これは、フォームから任意の文字列をキーボードで入力して、それを音声変換して生首が喋る。もう一つは、自動応答モード。こちらは音声入力でもいいし、キーボードでもいい。こちらが「こんにちは」と言えば「こんにちは」、「ありがとう」なら「どういたしまして」のように、会話のパターンが幾つかあって、投げかけた言葉に対して返事をする。裏モードとして、「生首に会話を聴かせる」というのもあって、嘘か本当か、人が話している音声のファイルをアップロードしていくと、生首が人間同士の会話を学習して、自動応答モードの返答が変わっていくことがあるらしい。
音声は、基本的には男声と女声の二択。そしてもう一つ、こちらにも裏モードがある。任意の声を登録すると、その声で生首を喋らせることができるようになる。これは、自動応答モードの音声入力か「会話を聴かせる」の音声ファイルをアップロードするとき、「声を登録してアップロード」を選択するとできる。「登録した声で話す」を選ぶと、その声で話すが、五十音のうち登録できていない音声は、飛ばされる。
橘さんの声を、私は少ししか登録できていない。だから、橘さんの生首は、「おはようございます」「こんにちは」とかぐらいで、まだあまり喋らない。ちょっと難しいことは、話しかけても、口はぱくぱくさせるけれど、だんまりだ。いつか、しっかり会話できるようになるだろうか。
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