03 上京(一成&章二)

 大学進学のため、僕は上京した。六つ上の兄のところに住むのだ。僕は新しい生活への期待と久しぶりに兄と一緒に過ごせることの幸福感に満ちあふれていた。


章二しょうじ、一旦休憩しよう」

「そうだね」


 荷解きを途中で終え、僕と兄は昼食にした。兄が手早く焼きそばを作ってくれたのだ。野菜も肉もゴロゴロ入っていて美味しかった。


「こうしてるのって、何だか変な感じだな」

「そうだね、兄貴」


 ソファに横並びに座り、兄はタバコを吸い始めた。僕の知らない匂いだ。いつの間に喫煙を始めたのだろうか。


「章二も吸うか?」

「いや、僕はいいよ」

「ふぅん。まあやめとけ」


 兄は灰皿に吸い殻を押し付けて捨てた。そして、僕の股間に手を滑らせてきた。


「ちょっ……兄貴」

「俺が家出てから一人でどのくらいやってんのかなーって」


 僕が幼い頃、兄に教えられたこと。それは一般的なことではないのだと、高校に入ってから初めて知った。


「どうだ、章二。もう普通にはいけなくなってるだろ?」


 あっという間にズボンと下着をおろされ、兄のごつい指が入ってきた。懐かしい感覚に僕は震えた。


「あっ……兄貴……」

「俺のせいで、ここいじらないとダメになったよな。一人でもしてるのか?」

「してる……」

「やらしー」


 指の本数が増えた。くちゅくちゅと音をたてて、僕の中身はかき乱された。僕はたまらず兄にキスをした。


「章二からしてくれるの、初めてだな」

「そうだっけ……」

「小学生の頃だよな。初めていじってやったの。あのときの章二可愛かった」


 指の動きはますます激しくなった。


「兄貴っ……今は……?」

「今も可愛いよ。わざわざ一緒に住みたいって言ってきたときは本当に嬉しかった。こういうの、期待してたんだろ?」


 そう。僕は期待していた。また兄にまさぐってもらえることを。ぐちゃぐちゃにされて、好き勝手にされて、蹂躙されるのを。


「章二は本当に可愛いな。大学入ったら出会いもあるだろうけど、ずっと俺が面倒見てやるからな。他の女や男に行くんじゃねぇぞ」

「わかってる……わかってるよぉ……」


 僕は兄に教え込まれた。この身体は兄のものだ。


「兄貴、好き。大好き」

「俺も章二のこと、好きだよ」


 こんなこと、本当は兄弟でしちゃいけない。わかってる。でも止められないんだ。

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