02 不自由(志鶴&鷹斗)

 兄は僕が居ないと何もできない。いや、そう仕向けたのは僕なのだけれど。その自覚はある。射精さえ自由にさせなかった。


「はあっ……はあっ……」

「手、止めて」

「あうっ……」


 僕の言うとおりに、兄はピタリと動きを止めた。本当はもっとこすりつけて果ててしまいたいだろうに。


「ここから先は僕がしてあげる。いい? 志鶴しづる

鷹斗たかとぉ……」


 初めはあんなに嫌がっていたのに。今では期待を込めた目で僕を見てくる。僕が手を添えると、兄はまた息を荒くした。


「出そうになったらちゃんと言うんだよ」

「あっ……ああっ……」


 僕は手に唾液をつけて、ぬるぬるとしごいた。散々自分でさせた後だから、そう長くは持たないだろう。僕は手の動きを早めた。


「鷹斗! いく……いっちゃう……!」

「はいはい」


 僕は兄のものをくわえて、吐き出される全てを口に含んだ。わざとすぐには飲み込まず、くぱっと口を開けて見せつけた。


「ああ……」


 兄の情けない顔が愛おしい。僕は舌で転がした後ゆっくりと飲み込んだ。


「あはっ。美味しー」


 そう言って笑ってみせると、兄もぎこちない笑顔を見せた。


「どう? 弟に管理されてる気分は」

「最初は……嫌だった。でも、今は……」

「気持ちいいの?」


 兄はこくんと頷いた。従順になるまで、そんなに時間はかからなかったな。そう思いながら兄の頭を撫でた。


「兄弟だからわかるんだよ。僕も志鶴も毎日こうしていないと生きていけない変態なんだ。大丈夫。ちゃんと毎日してあげるからね」


 兄はよろよろと立ち上がり、おろしていた下着とズボンを身につけた。


「次、鷹斗してあげる……」

「僕の言うとおりにするんだよ? わかってるよね?」


 兄の舌はつたない。男のものに慣れていないから仕方ないのだが、どうしてももどかしく感じる。僕は兄の頭を掴んで腰を振った。


「我慢するんだよ」


 顔は見えないが、苦しんでいるのはわかる。僕は腰を動かし続けた。そろそろ呼吸させないとまずいだろうと感じたので、一旦引き抜いた。


「ぷはっ……はぁっ……」

「志鶴は本当に下手くそだね。口、すぼめて。そのままくわえてて」


 僕は自分の指で動かした後、兄に注いだ。ごくりと飲み込む音が聞こえた。


「あースッキリした。兄ちゃん、ご飯食べよっか?」

「うん……」


 青白い兄の顔には、さらにくまができていた。それすら可愛らしい。僕は目元にキスをして、夕飯はどうしようかと考え始めた。


本編

繭の中のふたり

https://kakuyomu.jp/works/16817330665574054101

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