兄弟BL千文字まとめ

惣山沙樹

01 似ているところ(伊織&瞬)

 ベッドの上で横たわりながら、僕は兄の顔の稜線を目でなぞっていた。

 兄はしっかりとした鼻をしていた。目は二重で垂れていた。ヒゲは濃く、毎日剃らないとチクチクしてしまう。顎まで沿ったとき、兄が言った。


「何見てんだ、しゅん

「僕と兄さん、全然似てないなぁって思って」

「まあ腹違いだからな……」


 兄は僕の頬をぷにゅっと両手で包み込んできた。


「瞬は女の子みたいで可愛いな」

「もう、それ、気にしてるんだから」


 僕たちは裸のままだった。兄が脚をからめてきた。僕はそれに応じた。


「一つくらい、兄さんと似ているところ欲しいよ」

「そうだな……性感帯じゃね?」


 兄は僕の乳首をつまんだ。うっと声が漏れてしまった。


「こうされるより、舌で押し付けられる方が好きだろ?」


 そして、兄は唾液をからませながら、僕の乳首をふくみ、舌でぐいぐいと押してきた。


「あっ……兄さん……やぁっ……」

「好きなくせに」


 僕はシーツを掴んだ。兄の舌は暴れまわっていた。落ち着いていたはずの熱がこもりだした。


「兄さん、やめて……」

「やめない」


 腰が浮いてしまった。脚を突っ張り、刺激に耐えた。左から右へと舌が這った。


「あっ……あっ……」

「瞬、気持ちいいなら素直に言えよ」

「気持ち……いい……」

「いい子だ」


 やられっぱなしでは情けない。僕はぐいっと兄の肩を押し、体勢を入れ替えさせた。


「兄さんこそ、こうされるの、好き……?」


 僕は舌でぐりぐりと兄の乳首を押した。ふーっ、と兄は息を吐き、歯を食いしばっているようだった。


「兄さんも言ってよ。気持ちいい?」

「ああ……まあな……」


 ふーっ、ふーっ、と兄は息を漏らし続けた。僕には素直さを求めるくせに、兄はそうしたがらない。そこが可愛い。

 さらに追い詰めてやろうとしたとき、兄が身体をずらし、僕の顔を持ち上げた。


「いいところだったのに」

「もう一回する体力はねぇよ」

「兄さんから始めたんでしょう?」

「元といえば瞬があんなこと言うからだ」


 仕方がないので、僕は一旦ベッドをおりて床に座り、タバコを吸った。すぐに兄が僕の隣に腰かけた。


「確かに、僕と兄さん似てるね」

「血に刻み込まれてるんだよ。こうして確め合えて良かっただろう?」


 兄もタバコに火をつけた。僕は空いた方の手で、兄の鍛えられた腕をさすった。


「ねえ、兄さん。伊織いおり兄さん。僕、兄さんの弟で良かった」

「俺も瞬の兄さんで良かったよ。ずっと離さないからな」


 夜が更けていく。僕と兄の夜が。




本編

血の鏡

https://kakuyomu.jp/works/16817330663090185240

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