聖剣Q:閑話「勇者」

 勇者は聖剣を得るため、洞窟に棲み着く蜘蛛の王を討伐しに来ていた。

「…現実じゃ蜘蛛――というか、虫全般苦手なんだよなあ。」

 勇者は言う。

「虫苦手なんですか、意外と可愛い所あるんですね。」

「私はサラにとって可愛くなかったのか」

「いえ、そういうわけでは……」

 勇者…いや、少女は口を尖らせる。

 サラ、というのは勇者パーティの魔法使いの少女だ。

「そーですよねー、サラさんはびしょーじょですもんねー。私なんかじゃ敵うわけもありませんでした。」

「褒めてるのか貶してるのかわからない…」

 少女はやはり仲間のことが大切なようだ。そこは何度世界を旅しようと変わらない。どんな人間だろうと、人外だろうと、別け隔てなく接する。それは、もしかしたら彼女にのみ付与された特殊能力なのかもしれない。

「お、結局合流するんじゃんあの分かれ道」

「分かれて攻略する必要はなかったか。」

 向こうからホリーとルイが向かってくる。役職はそれぞれ騎士と巫女だ。

 勇者パーティは全員女子。おそらく、宿泊のときなどに悩みたくなかったからだろう。

「でも、合流したってことはこれでわかったね」

「そうですね」

「んじゃ行くかー!」

「そうだな」

 四人は決意する。

「レッツ、ボス戦!!」

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