開闢Ⅲ:言葉諭「この情報部、普通にえげつない。」
情報部。
私、言葉諭の入っている部活だ。
部員は私を含めて4人、そもそもの全校生徒が28人なのでむしろ多い方だ。ちなみに、部員が一番多いのは夜坂君の空想科学部。
他にも、放送部、新聞部、演劇部、保健部、剣道部がある。
文化部が多いのは、授業時間――授業はしてない――に色々するからだ。色々というのは、主に異能事件関係。
…話を戻すと、私の入っている情報部は3階のPC室にて活動している。
でまあ、この情報部。頭がおかしいのはここからで………
「こんにちはー」
「お、諭ちゃんじゃないっすかぁ!うぃっす、ども!」
パソコンから声が聞こえる。
この子は簡単に言うと、インターネット上に生きるAI――準コンピュータウィルスだ。
名前はアイ。AIが搭載されているからそのまま読んでアイとしている。
ちなみに彼女は1年2組。私は1年1組なので隣のクラスだ。
「よっこいせっと」
そう言い、彼女は地に足を付けた。
そう、彼女は現実に姿を現したのだ。
アイ。
彼女は空想科学部の奮闘によって――主に夜坂君の能力を駆使して――現実に姿を表せるようになった。
作った人に『付与』という能力があったそうで、彼女には『警備無視』という能力がある。能力はそのまま、すべてのセキュリティを完全に無視することが出来るという能力だ。
それが情報部にいる。
怖い。
「おはようございまーす」
「今めちゃくちゃ昼っすね」
アイちゃんが突っ込む。
「どうも。」
私も挨拶をする。
この人は
能力は『反撃』。自身が攻撃するまでに相手から受けた攻撃と同じ分の威力の攻撃ができるというもの。
本来であれば物理攻撃に適用される能力なのだろう。しかし、神様の設定ミスなのか、それともインターネットなどというものがこの世に出来るとは思わなかったからなのか、これがサイバー攻撃にも適応されるというものだから、本当に恐ろしい。
ちなみに2年生にはクラスというものがない。おそらく、というか絶対に2年生の人数が少ないからだろう。
同様に3年生も人数が少ないのでクラスはない。
学年に年齢は関係なく、入った時期から何年経っているかで決められているため、1年生が終わったときに同期が少なかったらもうそれ以上は増えないという性質から起こっている現象なのだが、そうなると転校イベントが1年生のときにしかないのが残念だ。
「いやぁ、つーかれたぁ……。」
「今日は何処行ったんすか?…お土産とかぁ、あったり?」
「旅行行ったんじゃねえんだよ。」
「異能事件ですよね?」
私も会話に参加する。
「そうそう、まあこんかいのは本人に自覚がないから、事件ってより事故なんだけどな。」
異能事件と異能事故は違う。
異能事件は異能を使って故意に人に危害を与えた場合成立する。
逆に異能事故は異能の方が暴走してしまった結果、人に危害が与えられた場合に成立する。
「何起こったんすか~?教えてくださいよ~!!」
「『念力』事件について調べてきたら解決した感じ。能力者は小学生の子だったよ。念力とかスゲー強いから、ここ来てくれねーかなーとか思ったりした。」
「何かいいですね、昔能力者に救われた人が自分も能力で人を救いたいって、その人が通ってた学校に行くの。なんか、少年漫画みたいで。」
「まあ細かいこと言うと、ここ学校じゃないんすけどねー。」
「そういやそうだったな。」
「授業全部ほったらかして任務を出す学校なんてどこにもないですよ?」
確かに、現実にはそんな学校はない。フィクションの中には、呪術を学ぶ学校とか、アイちゃんが言ったやつそのままの学校はあるけど。
「あれ、前篠先輩は来ないんすか?」
「ああ、あいつは異能事件関係でちょっと遅れるってさ。」
「そっちは事件なんですね…。」
前篠先輩。
フルネームは
彼の能力は『全知』、最強クラスの能力だ。しかも素の身体能力が高く、器用なので大抵のことは人並み以上に出来る。
1年3組に『多才』という能力者がいるが、彼の初見と同じくらいのことは楽勝だ。最も、努力と才能の間には決定的な差があるので、彼が少しでも練習したら先輩は勝てないけど。
それでも、汎用性が高いのは事実。
一言でいうとめちゃくちゃ賢い。
「じゃ、今日何やるんだ?」
「某素粒子原子核研究機構をハッキングしてタイムマシンの情報でも掴みます?」
「どこのSERNなのかな…。」
シュタゲですね。
「世界中の人々が集うインターネット上の仮想世界をハッキングして世界を混乱に陥らせてやろうかな…!!」
「アイちゃんはラブマシーンか何かなの?」
サマーウォーズですね。
「じゃ、俺はフルダイブ技術を使ったゲームを制作してデスゲームでも…」
「先輩の正体って量子物理学者兼天才的ゲームデザイナーの茅場さんだったんですか!?」
SAOですね。
「天才が集まってる情報部に遅れてやって参りました前篠士郎です、こんにちは。」
「聞いてたんですか。」
「SERNあたりからな。」
「全然遅れてないじゃねえか。もしかして士郎、サボった?」
「サボるか。思ってたより早く事が済んだってだけだよ。」
「じゃ、さっそく第七世代有機スーパーコンピュータ・システムのハッキングでもしますかぁ」
「アイちゃんは生命の実を食べたの!?」
最後はエヴァで締められました。
情報部は、今日も活動を開始する。
おそらく世界一ぶっ壊れている情報部はここだろう。
まあ、私はそこの部員なんだけれども。
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