第8話 霞む風景
1945年7月28日 PM5:00
唸るエンジン音。
振動を感じる。
死を前にしているのに。
何故か。
心地良い。
偽りも一切無い。
澄み切った気持ちで進んでいる。
存在するのは。
君への愛。
何も。
汚れの無い気持ちで。
僕は。
無になれる。
遠くに。
敵の空母が見える。
それに向かって。
僕の戦闘機は飛ぶ。
海面が。
キラキラと。
奇麗だなと。
思った。
今は。
君が。
君の愛らしい笑顔を胸に抱いて。
僕は。
消えていくのです。
操縦桿のレバーを。
グッと、押し倒す。
機体が。
敵の空母に向かう。
愛している。
僕は。
脳裏に浮かぶ妻に向かって。
呟いたのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます