第42話 また決闘ですか……?
「優菜ちゃん!? 倒れちゃった! ど、どうしよう~!」
時雨が闘技場の上でオロオロし始めてしまったので、俺もそばに行ってやった。
近づいて様子を見てみると優菜は泡を吹いたまま倒れて、完全に気を失っている。
う~ん、またアクアに対応をお願いするか……?
というか、アクアはまだ来ないの?
「――優菜っ!」
再び、聞き覚えのある声が聞こえて俺の頭上に剣が振り下ろされた。
こちらも剣で受けると、斬りつけてきていたのは優菜の兄の
俺がはじき返すと、悠人は俺に剣を構えたまま怒りの声を上げる。
「くそっ! 俺がちょっとトイレに行っている間に……! 秋月優太っ! お前がやったんだろう!」
「違うよ。説明しろと言われると色々と難しいけど」
「嘘をつくな! お前以外の誰が優菜をこんな状態にできるっていうんだっ!」
「……こんな状態?」
「あぁ、そうだ。お前、綿霧様やシルヴィア様だけでは飽き足らず……優菜にまで魔の手を……!」
よく分からないが、悠人は俺が優菜を気絶させたことに確信を持っているみたいだ。
悠人は優菜を抱えて闘技場の外に運び出す。
「くそっ、優菜……泡まで吹いて気絶してるじゃないか! こんな公衆の面前で……一体どんな超絶テクニック――辱めを……!」
そんな感じのことを呟くと、再び闘技場の上に戻ってきて俺に剣を向けた。
「秋月優太、お前を倒す! 全てのモテない男の敵としてな! あと、お前の持つテクニックも教えてもらうぞ!」
「テクニック……? 何の話……?」
何だかよく分からないが、俺は再びこの闘技場の上で戦うことになりそうだった。
◇◇◇
一方、その頃アクアは……
「わぁ~、凄~い!」
「本物のアクアさんだ~!」
「私、アクアさんに憧れてます!」
「一緒に写真撮ってください!」
「サ、サインを! 私のシャツにお願いします!」
帝国ギルドに見学に来ていた訓練学校の生徒たちに取り囲まれていた。
「す、すみませんアクアさんっ!」
「いえいえ! 構いませんよ~!」
先生に頭を下げられながら、アクアはファンサービスをする。
ただのファンだったら断ることも多いアクアだが、子供には弱い。
(う~、まさか訓練生たちと鉢合わせしてしまうとは……時雨ちゃんはもう合格してる頃でしょうか?)
こうして、思わぬ足止めをくっていた。
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