第41話 ぶっ倒しちゃいました
「グギャァァァー!」
恐ろしい鳴き声を上げながら、ギガントリザードの牙がクマリンに迫る。
会場の誰もが、少女の可愛らしいクマの人形がズタズタに引き裂かれることを予想した。
――ドンッ!
しかし直後、轟音と共にギガントリザードは後方に回転しながら宙を舞った。
飛行ではない。
まるで強烈な力で顎下から上に撃ち抜かれたようだった。
その下には、小さな腕を振り上げたクマリンが居た。
「――は?」
ひっくり返り、ピクピクと痙攣を繰り返すギガントリザードを見て優菜は言葉を失う。
いや、会場全体が何が起こっているのか分からない様子で静まり返っていた。
(なんじゃこりゃ……)
俺はクマリンが動き出した時にはすでに鑑定スキルで調べていた。
"クマリン"
"(時雨を泣かせたこのデカいトカゲを倒す)"
鑑定スキルの内容にコイツの心の声が干渉している。
だから様子を見守っていたのだが……凄まじい。
やはり可愛くてもクマはクマか。
「クマリン……凄い」
その光景を見た時雨がビックリした後に、クマリンはパタリと倒れた。
"(魔力切れだ)"
魔力切れか。
きっと、時雨が一晩中抱きしめている間に魔力が注がれていたのだろう。
鑑定スキルを使えばこいつとも会話ができそうだ。
どうやってるのかはマジで分からんが、異世界の産物なんて意味が分からんモノばっかだしな。
「クマリン……守ってくれてありがとう」
時雨はクマリンを拾い上げると、ギュッと胸に抱いた。
「ひ、ひぃぃ!? ちょっと、起きなさい! アイツが来るわよ!」
殴り飛ばされたギガントリザードをぺしぺしと叩いて起こそうとする優菜に、時雨は一歩ずつ歩み寄る。
「優菜ちゃん……こんなことになっちゃったから。私も全力で魔法を撃つね」
「ぜ、全力……!?」
優菜も魔法使いだ。
ギガントリザードを一撃で吹き飛ばすほどの魔道人形を動かせる時雨の魔力は凄まじいと理解しているだろう。
時雨は倒れているギガントリザードと、その隣にいる優菜の前で手をかざす。
「お、お願い……助けて……!」
優菜は震えながら命乞いをする。
時雨はにっこりと笑った。
「もちろん!」
「――よ、よかっ」
「じゃあ、魔法撃つね!」
「ギャー!」
時雨はその腕に全力の魔力を込めて放った。
「『
回復魔法を受けて、ギガントリザードの殴られた傷がみるみるうちに治っていく。
「ごめんね、勝手に怖がっちゃって。君は悪くないのにね」
そして、時雨は意識を取り戻したギガントリザードの頭を優しく撫でた。
ギガントリザードは態度を一転させ子犬のように媚びる声を出して地に頭を伏せる。
完全に上下関係が生まれてしまった。
「優菜ちゃん、魔法発動できたよ! これで合格にしてくれる?」
「あ……あばば……わ、私、死ん……」
「あれ? 優菜ちゃ~ん? どうしたの?」
攻撃魔法でギガントリザードごと消し炭にされると思っていた優菜は口から泡を吹いて気絶していた。
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すでに完結まで書き終わっている作品を改稿して、最初から順次公開していきますので、ぜひ読みに行って作品フォローしていただけると嬉しいです!
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(旧タイトル『鋼鉄の魔女のひとりごと』)
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<(_ _)>ペコッ
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