第29話 地味なステータスですみません

「「「……は?」」」


 S級探索者4人は俺のステータスを見て目を点にした。


秋月優太あきづきゆうた

 レベル:1

 HP : 100/100

 MP : 0/0

 SP:5

 経験値: 0/50


 職業:剣士ソードマン

 攻撃力:15

 防御力:10

 魔力:0

 敏捷性:10

 知力:10

 運:10

 スキル:『スラッシュ』、『鑑定』

 魔法:無し


特性フィート

 ・天上天下てんじょうてんげ:貴方の剣は一流だ

(どんな体勢でも剣技を出すことができる)

 ・百戦錬磨ひゃくせんれんま:貴方は修羅を生き抜いてきた

(貴方の技はより強く、速く進化していく)

 ・明鏡止水めいきょうしすい:貴方の心は澄んでいる

(剣と呼吸を一つにすることができる)

 ・疾風迅雷しっぷうじんらい:貴方は戦場を獅子の様に駆ける

(集中状態、身体能力に応じてステータス加算)

 ・危機察知:貴方は雷すら避ける

(危険が迫っている場所を察知できる)


「……え?」

「……はぁ?」

「な、なんだこりゃ……?」

「あはは! 面白い!」


 アーサーのみが笑い、他の3人は困惑する。

 当然だ、レベル1の癖にここまでS級の皆様にご迷惑をかけているのだから。


 『特性フィート』:影の英雄を隠し、他のステータスを開示した。

 ちなみに、スキルは恐らく俺のSP(スキルポイント)内で発動できるモノしか表示されていない。

 俺のSPが5でスラッシュの消費SPは3なので、実は一発しか放てなかったのだ。


「レベル1で『特性フィート』が5つもあるのは大したもんだが……どれも地味で、効果が曖昧だな」


 グラントさんの言う通りです。

 俺の『特性フィート』は大仰な名前に対して恩恵がよく分からない地味なモノばかり。

 しかも、異世界のだいぶ後半の旅で手に入れたんだよね、これ。

 もっと分かりやすく『攻撃力+50』とかが欲しかった。


「グラント、何を言ってるんだ……どれも、もはや"奥義"だよ。僕みたいな半端者じゃ到底到達できないレベルのね」


 アーサーが大げさなフォローを入れてくれる。

 気遣いとかできるんだな、この人。


「私、レベル1の子に負けたの? でも、力もスピードも強かったわよ?」

「ステータスは身体能力に可算される数値だから……」

「元々の身体能力が高ぇってことか?」


 急に、アクアがシルヴィアに自慢げな表情をしながら語り出した。


「そうそう! 秋月さんってこう見えて、意外と凄く良い身体してるんですよ! 私は見せてもらいました!」

「見せたというか、見られたというか……」

「あら? 私も後で見せてもらおうかしら……ふふっ」

「ダ、ダメです! 秋月さんは私にしか見せませんから!」


 アクアとシルヴィアもまだ喧嘩していた……。

 まぁ、せっかく買った素敵な家を『犬小屋かと思った』とか言われたら根に持つか。


 でも変なところで張り合わなくて良いから。

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