第15話:堕天使から天使へ。

昼はふたりで協力してカレーを作った。

祐介は料理は得意じゃなかったが、レシピの見方くらいは知っていた。

全面的にシュシュだけに任せておいたら、そのまま残飯になりそうだった。


で、仲良くカレーを食べたわけで、腹がいっぱいになったら、

祐介とシュシュは、コタツに入ってイチャイチャしていた。


もうすぐクリスマスイブ、恋人たちの一番盛り上がるイブ。

男は彼女を喜ばそうと、サプライズを考える。


祐介はそういうことは好きじゃなかった。

だけど祐介はシュシュのために何かプレゼントしようと考えていた。


「シュシュ、クリスマスにはまだ早いけど、プレセント買ってやるよ」


「いいよ、そんなの祐介がいてくれたらいい」


「そんなこと言わないでさ・・・学校の帰りに小物雑貨の店見つけてあるんだ」

「いまから一緒に行こう」


祐介はシュシュのプレゼントを買いに彼女を連れて街に出た。

商店街の途中にあるオシャレな小物雑貨の店。


その店で祐介はシュシュにブルックリンチェックのストールを買ってやった。


買ったストールをさっそく首回りに巻いてやると、なお一層可愛くなった。

シュシュは嬉しそうにはしていたが、それでも笑わうことはなかった。


家に帰ると夜ご飯まではすることがないふたり。

二人はコタツに入ってテレビを見て時間を過ごした。


クリマスマスの時期ということでテレビでは「レインツリーの国」って

映画をやっていた。

祐介は時間が潰れたらいいと思ってシュシュと映画を見始めた。


レインツリーの国って映画は「レインツリーの国」というサイトを

見つけた主人公が、ネットを通じて難聴を抱える女性との交流を重ねていく話。

紆余曲折あって最後はハッピーエンドで終わるラブストーリー。


最後のクライマックスが終わったところでシュシュが言った。


「私、プレゼント以外にもう一つ欲しいものがあるの」


そう言うとシュシュは祐介に抱きついてキスした。


「祐介・・・大好き」


「俺もだよシュシュ」


どうやらレインツリーの国が、シュシュの心に火をつけたらしい。


「祐介が欲しい・・・」

「私を好きにして・・・祐介」


ここまで来たら祐介も高ぶった気持ちはもう止められない。


ふたりはお互いの服を脱がしあった。

もう無我夢中で愛し合った。

コタツから出て、ソファーに移動すると何度もキスをして、求めあった。


祐介はシュシュを抱き上げると二階の部屋のベッドまで連れて行って

シュシュを寝かせた。

なにも見に纏わない生まれたままの堕天使。

美しすぎた。

祐介は躊躇ためらうことなくシュシュを求めた。

そしてふたりは、その夜、結ばれた。


ふたりが結ばれた時点でシュシュは堕天使から天使に戻っていた。

祐介の愛に抱かれて・・・。

ただ彼女はそのことに気ずいていなかった。


気持ちのいい体の疲れと、午後のまどろみの中でシュシュは夢を見た。

天界へは帰らず祐介と幸せに暮らしてる自分の姿。

思い切り笑顔の自分。


でもそれはただの夢でしかなかった。


ふたりは夕方ベッドから出て、コンビニで買って来た夕食を仲良く食べた。

祐介はずっとこんな日が続けばいいのにと思った。

そしたら毎日、シュシュとエッチできるのに・・・。


「祐介、何考えてんの?」


「しょうもなこと・・・」


「しょうもないことって?」


「だからしょうもないこと・・・」


するとシュシュが急に背中が痛いって言い始めた。


「どうしたシュシュ」


「祐介、背中が痛い・・・」


祐介はすぐにシュシュの服を脱がせて彼女の背中を見た。

するとそこに小さな黒い羽根が生えてきて、ポロっとしたに落ちた。

黒い羽根がなくなった箇所から今度は白い羽根が生えてきた。


「シュシュ・・・白い羽根が生えてきたけど・・・どうなってる?」


つづく。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る