第16話:天使に戻ってる?。

「祐介、背中が痛い・・・」


祐介はすぐにシュシュの服を脱がせて彼女の背中を見た。

するとそこに小さな黒い羽根が生えてきて、ポロっとしたに落ちた。

黒い羽根がなくなった箇所から今度は白い羽根が生えてきた。


「シュシュ・・・白い羽根が生えてきたけど・・・どうなってる?」


「うそ?・・・どういうことなの?」


「大変だ・・・どうしたらいいんだ・・・病院か?」

「いやいや・・・そんなことしたら余計騒ぎになるだけだ」


「祐介・・」


「シュシュ・・・もしかしたら君、天使に戻ったんじゃないのか?」


「えっ、そうなの?」


祐介は一瞬、シュシュが背中が痛いなんていうから、なにかの病気を

疑ったが取り越し苦労だったようだ。


実はシュシュは祐介と結ばれたことによって祐介に愛されて、その

本当の愛のパワーを得たのだ。

そのことによってシュシュは天使に戻っていた。

魂も笑顔も彼女に戻ってきていた。


「きっとさ、俺と結ばれたことによってシュシュは天使に戻ったんだよ」

「いろんな意味でお祝いだな」


「なんの?」


「メリークリスマスと天使の復活を祝してだよ」

「クリスマスに天使なんて、すげえ取り合わせじゃん」


「クリスマスにはまだ早いよ」

「それに私が天使に戻ったか、まだどうか分かんないし・・・」


シュシュの新しい羽根はまだ生えかけたばかり

一応ちゃんと生え揃ったら体内に同化されるんだそうだ。

羽根は、空を飛ぶときだけ体から現れて多いくなる、そういう仕組みらしい。


だから、今はシャツの背中を少し切り抜いてやっていた。

横から見ると可愛い女の子の背中に小さな羽根が生えていた。

まるで妖精みたいだった。

白いワンピースなんか着せたら、それはもう妖精だった。


次の朝、志麻子ちゃんが帰ってきて、シュシュの背中を見て驚いた。


「まあ、天使って言うのはほんとうだったのね」


「やっぱり信じてなかったんだな」


「だって」


「これではっきりしただろ、俺の話が本当のことだって」


「はい、もう充分分かりました 」


その親子の光景を見てシュシュが笑った。

笑ったのだ・・・シュシュが。


「シュシュ、今、笑ったよな」


「え?ああ・・・ほんとだね」


「笑ったよ・・・シュシュが笑った」


「そうなんだ・・・、私もう笑うこともできるんだ・・・」

「意味分かんないけど・・・やっぱり元の私に、天使の私に戻ったんだね」


祐介は安心して次の日から学校へ出かけた。

家に志麻子ちゃんがいたので、シュシュも退屈せずに済むだろうと思った。


そしてその日の昼ごろ、ひとりの客が神谷家を訪ねてきた。


志麻子ちゃんが玄関にできると、感じのいい紳士が立っていた。


「お邪魔します・・・こちらにシュシュという女の子が、お世話になってる

と思いますが・・・」

「いらっしゃいますか?」


「あ、はいおりますけど・・・どちら様でしょう」


「シュシュさんを呼んでいただければ分かります」


「はあ・・・少々お待ち下さい」


志麻子ちゃんはよく分からないまま、リビングでテレビを見ていたシュシュを

呼んだ。


つづく。


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