第13話:アスタリスの伝言。
祐介は、家出したシュシュを追って心たりのある場所を探した。
「何も出て行かなくてもいいだろ・・・」
「俺にだって考える時間は必要だよ?」
商店街や河川敷のあたりも探した。
もしかして自分たちが出会った図書館とも思ったが、この時間に学校が空いてる
はずがなかった。
(電車にも乗れないから、遠くへは言行ってないはずだし)
そうこうしているうちに外は雪がちらほら降ってきた。
「冷えてきたな・・・」
「この寒い夜に、どこへ行ったんだよ」
「帰ってこないと凍え死ぬぞ」
「お兄さん・・・」
そう呼ばれて祐介は振り向いた。
それはさっき、リビングにやってきたアスタリスと言う堕天使だった。
「また来たのか・・・悪いけど、今はあんたとやりとりしてる暇は
ないんだ 」
「分かってるよ・・・ただ一言いっておきたくてな」
「また来るって言ったが、俺はもう二度と人間界には来ない・・・」
「シュシュにも手は出さない」
「俺は一度シュシュを裏切ってるし、彼女を捨てた男だ」
「だから寄りをもどそうなんてそんな虫のいいことは言わない」
「ただ元気にしてるか様子を見に来ただけなんだ」
「あんたの世話になって、幸せそうにやってるシュシュを見て安心したよ」
「だから、俺はもうシュシュとは関係ないから・・・」
「それにカオスに落ちた俺は、もうすぐ悪魔になる」
「そうなったらシュシュとは別の存在・・・出会うことは二度とない」
「それだけ伝えに来た・・・じゃ〜な、彼女を大切にしてやってくれ」
「あ、そうそうシュシュだが・・・あんたの学校の近くの公園にいるよ 」
「早く言ってやれ、、あいつはすぐに強気に出るが内心は繊細なんだ・・・
あんたが迎えに来るのを待ってるぜ」
そう言うとアスタリスは消えた。
元カレが現れて、一悶着あるかと祐介は思っていたが、アスタリスは
案外いいやつなんだって思った。
シュシュが惚れてもおかしくないかなって。
祐介はすぐに公園に向かった。
公園に着くと、誰かベンチに座ってる影が見えた。
影に近ずくまでもなく、すぐにシュシュだとすぐ分かった。
「シュシュ・・・」
「シュシュ・・・帰ろう」
「ほうっといて・・・」
「ダダこねないで、さ、帰ろう」
「だって・・・」
「分かったよ・・・俺が悪かった・・・信じてるから・・・」
「少し、迷っただけだよ・・・あんなことがあったから、ちょっとパニクった
だけだから・・・」
「それにさっき、アスタリスが来て、俺に言ったぞ」
「二度と俺たちの前には現れないって・・・シュシュのことはただ元気で
やってるか見に来ただけだって・・・ 」
「君を探してた俺に、ここを教えてくれたのも彼だよ」
「あいつ、案外いいやつなんだな」
「シュシュが惚れるだけのことはあると思う」
「さ、こんなところにいたら凍えるよ・・・」
「いつまでもスネねてないで、機嫌治して俺と帰ろう」
シュシュは小さくうなずいた。
「祐介」
シュシュは思わず祐介に抱きついた。
「分かったから・・・さ、帰ろう」
「雪が降ってきたし・・・風邪でもひいたら大変だよ」
「祐介・・・」
「なに?」
「おんぶして・・・」
「え?・・・おんぶって・・・まじで?」
「自分の足で歩けるだろ?」
「して・・・」
祐介は、またシュシュにゴネられるとマズいと思って、しかたなく
彼女を背中におぶって家に帰った。
つづく。
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