第11話:シュシュの元カレ。
祐介とシュシュがパークから帰って来るとリビングに怪しげな男が
ソファーに座ってふたりを待っていた。
「シュシュ知ってる人か?」
祐介は理解しようとシュシュに、その人を知ってる人か聞いた。
「そっちのお兄さん、玄関空いてましたよ」
「ちゃんと戸締りしとかないと空き巣に狙われますよ」
「もっとも鍵なんか、かけたって俺には意味ないですけどね」
「俺くらいの天使ともなるとカオスから人間界に来ることも
鍵がかかったドアをすり抜けることも、なんでもないことですからね・・・ 」
「もっとも今は堕天使って言うか、もうすぐ悪魔になるけどね」
「シュシュ・・・俺は、おまえを迎えに来たんだよ・・・って、
ほんとは言いたいけど」・・・
「俺はカオスから出て、他の場所では長くはいられないからな」
「それに、おまえをカオスに無理やり連れ戻したんじゃ神がおまえにした
ことと同じことになっちまうし 」
「まあ人間界にしばらくならいられるから、こうしてやってきたんだ」
「どっちにしても、おまえ天界には戻れないんだろ?」
「アスタリス・・あんた、なんで今更ここへ来たの?」
「私を捨てたくせに・・・」
「捨てたわけじゃなくて、俺が神に逆らったせいで、あんなふうに
なっちまったけど・・・でも捨てたわけじゃない・・・ 」
「今更、何を言っても遅いからね」
「私の耳元で、はっきり「俺たちはもう終わりだ」って言ったじゃん」
「止める私を捨てて、神様に戦いなんか挑んで・・・自業自得だよ」
「何度もやめて言ったのに・・・」
「あんたは、私より神様への冒涜を選んだんだから・・・」
「シュシュ・・・この人誰?・・・どう言うことなんだ」
何も分からない祐介が口を挟んだ。
「ごめん、祐介・・・あとでちゃんと説明するから」
「俺と別れたあと、このお兄さんとできたわけか?」
「あんたには関係ないことだよ」
「私はもう、あんたのことは忘れたんだから」
「この人は、祐介はあんたとは違う・・・私をうらぎったりなんかしない」
「ほう、それはどうかな・・・」
「人間は天使より平気で人をうらぎるぞ」
「そんなことは、あんたの偏見だよ」
「この人は違う」
「いいからもう帰って・・・二度と来ないで・・・」
「嫌われたもんだな、あれだけ俺のことを愛してたくせに」
「言わないで・・・それ以上言わないで・・・」
「あんたの口から愛なんて言葉聞きたくない」
「地獄でも、どこへでも行って・・・」
「・・・まあ、落ち着け・・・じゃ〜ここはひとまず退散するけどな・・・」
「でもまた来るからな・・・」
「おまえを取り戻す・・・」
アスタリスはシュシュにそう言うと、ちらっと祐介のほうを見て、
「お兄さん・・・お邪魔したね、失礼するよ」
そう言って、その場から消えた。
しばらく沈黙が続いてから祐介がシュシュに問いただした。
「シュシュ・・・ちゃんと説明してくれるよな」
「あんな男・・・」
「君、天界にいた時、彼氏がいたって言ってたのって?」
シュシュは祐介を見てうなずいた。
「さっきの男がそうなんだな」
シュシュはまたうなずいた。
「ちゃんと説明しろよ」
「このこと俺にずっと隠してたのか?」
「もう終わったことだから・・・話す必要ないて思ってたの・・・ 」
「アスタリスが来るなんて思てもみなかったし・・・・」
「ほんとにもう別れたんよ・・・信じて祐介」
「私、もう彼のことはなんとも思ってないからね」
「驚いた・・・」
「引きずってることがあるって言ってたのはこのことだったんだ」
「だけど、もう今は引きずってないよ、私は祐介だけだからね」
「まさかな、君の元カレが来るとは思わなかったよ・・・」
「かなり、驚きだし・・・ショックだな、俺」
つづく。
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