第8話:寿し食いに行こう。

シュシュにくっついた祐介は、彼女の温もりを感じていた。

祐介はそのままシュシュの上に重なって胸に顔をうずめた。


「・・・なにしてんの?」


「なにもしないよ、でも、しばらくこうしてたい」


「あったかい・・・こんなふうにしてみたかったんだ」

「シュシュに触れてるとめちゃ癒される・・・ 」

「それだけで幸せな気持ちになれるんだ・・・」


「うん、それは分かる気するね・・・」

「くっついてるとほんわかした気分になるから・・・」


「そうなんだよ・・・」

「もう何にもしたくない、いつまでもず〜っとこうしてたい」


「ねえ・・・ほんとにいいの?」


「なにが? 」


「ほんとに、私を好きになって後悔したりしないの?」


「後悔なんかしたら、それこそ後悔するよ」


「神に誓って?」


「神でも仏でも誓うって」


「分かった、私、優柔だったけど気持ち切り替える 」

「過去のことは、忘れるから・・・」

「けど祐介、私を裏切ったら地獄行きだからね」

「浮気しても地獄行きだから・・・」


「シュシュと一緒なら地獄でもどこでも行くよ」


「地獄へ行くのは祐介だけだよ」


「ダメ、ダメ、地獄だろうとどこだろうとシュシュと一緒だから・・・」


「ええ〜〜」


「はっきりしてるのはお互い好き同士だってこと」

「それが大事なんだ」

「俺は片思いなんて悶々とした気持ちでいるのは嫌だからな・・・」


「あのさ、どうせならお祝いしないか?」

「俺たち、もうが恋人同士だよな、そうだろ?」


「かな?」


「かな?じゃなくて・・・恋人同士なの、だからお祝い」


「昼にコンビニ弁当なんか買うのやめてさ、外に食べに行こう」

「まずは昼飯・・・シュシュは何食べたい?」


「分かんない・・・祐介が決めて」


「高級料理なんて無理だから・・・安くて腹一杯食えるやつ 」

「寿司食いに行こう・・・回転寿司」


「それはいいけど、昨日お洋服買ったあと、結局イルミネーション見に

連れてってくれなかったでしょ・・・ 」


「ああ、そうだった」


「じゃ〜昼、寿司食ったあとで、行って見るか 」


ってことで祐介はシュシュを連れて、回転寿司を食べに出かけることにした。

今朝起きて朝ご飯食べてパジャマを着たままだったシュシュは土曜日に

買ってもらった洋服を着た。


「おお、可愛い・・・やっぱり値段だけのことはあるな」


「中身がいいからだよって言って欲しいんだけど・・・」


「そりゃもちろん、それが一番だって」

「・・・・・けど、やっぱりスカート短すぎだと思うけど?」


「いいの・・・ちゃんとパンツ履いてるから・・・」


「いや、そういう問題かな・・・まあいいけど・・・」

「ってかパンツ履いてなかったら大問題だろ」


土曜日、洋服を買った時、一緒にブーツも買ってやっていた。

玄関の上がり端に座ってそのブーツを履いてるシュシュを見て


「パンツ見えてるぞ」

「やっぱりスカート短かすぎだな」


「そんなとこばっか見てるんでしょ、エッチ」


「俺が見てるんじゃなく、世間の男が見るだろって話だよ」


「見たい人には見せとけばいいの」

「別に裸で歩いてる訳じゃないんだから・・・」


「俺の彼女が世間の男の視姦にさらされるのは我慢できないんだよ」


「ふ〜ん、そんなもんなの?」

「んじゃ〜明日からカーゴパンツにする」


「いや、そこまで極端にしなくていいと思うけどな・・・」


「多少の目の保養も必要だろ?」


「もう、どっちなの?」


「二者択一 なら、スカート短いほう・・・」


よく考えて見ると、シュシュは祐介の好きだと言う気持ちを受け止めた訳だから、

これで天界へ帰れるはずなんだけど、それは、あくまで言葉の上だけの約束事。


この先、お互いの関係がうまく行くかどうかも分からないし、本当の意味で

結ばれた訳じゃないから、まだおいそれとは天界には帰れないのだ。


で、祐介は祝杯をあげるってことでテンションが上がっていて、出かける時、

玄関の鍵をかけることを忘れていた。


つづく。


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