第6話:シュシュの洋服。
祐介は、イルミネーションを見に行く前に、シュシュの洋服を買ってやる
ことにした。
でも商店街の有名ブランドは無視した。
「お洋服のお店あるのに、通り過ぎてるよ、祐介〜」
「あのね、君と同じような可愛い、お姉さんが店番してるようなショップは、
基本的に値段が高いの・・・ 」
「スーパーの婦人服売り場でいいんだよ」
普通の女子なら、え〜って言うところなんだけど、そのへん、知らないシュシュは
祐介の言うことに従った。
(ブティックなんかに入ったら、絶対着せ替え人形みたいに次々服を出してきて、
ああでもないこうでもないって言って結局 買わなくていいものまで買わされるのが
オチだからな・・・)
祐介はシュシュをスーパーの婦人服売り場に連れて行った。
そこで適当に洋服をみつくろって買って帰ろうと思っていた。
でもスーパーにだってお洒落なブティックは入ってるわけで、可愛い服を
見つけたシュシュが、すぐに反応した。
「あれ・・・可愛くない?」
「私、あれがいい」
「まあ・・・たしかに可愛いけど・・・高いんじゃないか?」
それは今時のお洒落女子が着てそうな洋服だった。
祐介は、可愛いマネキンが着てるその洋服の値札を見た。
上下セットで50,000円の値札が付いていた
「無理無理・・・絶対無理」
「高すぎ・・・それにそんなに金持ってきてないし・・・買えないよ」
「ぷ〜」
「だから許容範囲 ってものがあるだろ?」
「それにさ、これスカート短すぎないか?」
「もうちょっと長めの方がよかないか?」
「てかさあ・・・もうちょっと安いので我慢してくんない?」
「あっちの吊るしてある洋服でいいんだよ」
「そりゃシュシュには可愛い服きてほしいけど」
「俺は大富豪の御曹司じゃないからな・・・金銭的に限界があるの、分かった?」
「分かった・・・もういい」
「もういいって・・・」
「あのな〜そうやって、フテ腐れるのはよくないぞ」
「もういい言ってるの・・・服なんかいらない・・・」
「いいかげんにしろよ」
「裸で生活する訳にはいかないだろ・・・」
「そりゃ、シュシュの思い通りにしてやりたいけど・・・無理なことだって
あるんだよ」
「洋服、買おうなんて言っておいて、ほしい服が買えないのは俺も悪いと
思ってるよ・・・」
「あれがいいって言ってもダメって言うじゃん」
「だってさ・・・」
「んん〜・・・もうしょうがないな〜・・・どうしてもあれがほしいのか?」
シュシュはうなずいた。
洋服を買ってやるって言った手前、無視するわけにもいかない。
安い服でごまかそうとした自分にも責任はある。
祐介はしかたなくカードでその洋服を買ってやった。
「もうそれだけだからな・・・」
「ありがとう祐介」
「なんだよ買ってやったのに嬉しくないのか?」
「嬉しいけど、私、笑い方が分んないの」
「えっ?」
「以前みたいにうまく笑えないんだよ・・・」
「天使の時は笑えたのに、今は笑い方さえ忘れてるみたい・・・」
「なにそれ?魂を抜かれたことと関係あるの?」
「たぶん・・・」
「そうか・・・じゃあ無理して笑おうとしなくていいよ」
「できたら・・・いつかシュシュの笑顔が見れる時が来るといいなって思うよ・・・」
「ごめんね・・・わがまま言って・・・」
「いいよ、気にしなくて・・・」
「さて、問題は下着・・・パンツ」
「これは自分で買ってきてよ・・・俺は一緒にはいけないから」
「なんで?・・・」
「それは俺が男だからだよ・・・」
「なんで男だったらダメなの?・・・意味、分かんない・・・」
「俺が女性モノのパンツなんか物色してたら変態って思われるだろ」
「でも私、パンツの買い方なんか分かんないよ」
「適当に何枚か探してきたら、支払いは俺がしてやるから」
「ほ〜い、好きなの取って来たらいいんだね」
結局シュシュのパンツはレジに持っていくわけで、支払いは
祐介・・・恥ずかしい思いをすることは避けられなかった。
なんやかんや言って女の子のモノは高くついた。
洋服を買ったついでにニーハイブーツまで買わされる羽目になった。
祐介はバイトで稼いだお金をほとんどシュシュのモノに使ってしまった。
それでも、なぜか祐介は嫌な気分じゃなかった。
女の子を育てるシュミレーションゲームは嫌いじゃなかったし、
こんな買い物デートでも女の子と一緒の時間を過ごせてることにテンションが
上がっていた。
それがたとえ人間じゃなかったとしても、それが堕天使だったとしても。
つづく。
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