本当にようやく靴を履いた


ボスを倒したのに何故か楓ねえと追いかけっこを繰り広げた数分後走り疲れたボクたちはせっせと素材を集める。


「もう疲れたよー」


「だらしないわね。もう少しシャッキっとしなさいよ」


「紅葉が僕達を追いかけ回すから走り疲れたんだよ」


「…ああ、私のことね。でもあんた達が変に茶化すからいけないんでしょ」


少しの間微妙な沈黙が流れて静かになる。あっそうだった紅葉って呼ばないとダメなんだっけ。全然忘れてた、最初の方はねえちゃんとか言って本名を呼ばないようにしてたんだけどさっきの戦いの時めっちゃ呼んでたな。


「やっぱり、他の名前で呼ぶと違和感あるよね」


「はぁー、言わないで。わたしもそれは薄々思ってたから」


「僕も今さっき思い出したとこだよ。戦闘中だとうっかり忘れちゃう」


「まぁわたしたち3人の時はいいけど、人前で呼ぶのはやめてよね恥ずかしいし」


そんなことを話しながら素材を集め終える。もう辺りは暗くなっており月明かりだけが森を照らしていた。


死する失月蝶クラスターグリーフ:死んだ生き物の魔力残滓を元に生まれる蝶。その生態から死者の生まれ変わりとも言われる幻の蝶。羽ばたく翅で風を巻き起こし光を奪う鱗粉を撒き散らす姿は災いの象徴。自身の一部を分離させて攻撃などをするがその時に逸れた者がいわゆる光失蝶と呼ばれる存在である。そのため光失蝶が大量に倒されるとそれを察知して現れる。



光失蝶ブリスリーブは幸福になれる言い伝えがあるぐらいなのに死する失月蝶クラスターグリーフは災いの象徴なんだ。なんか幸せと不幸は表裏一体っていうのかなんていうか。


ていうかやっぱりあの蝶倒しまくったから出てきたのか。途中から尋常じゃない魔物の量だったし、イベントが起きていたみたいになってたもんね。


いつのまにかボスが発生する条件を達成してしまったんだろう。毎回思うけど、意図してない時だけ低い確率を引っ張ってくるって、どういうことなの。


レベル上げしようと思ってきたのにネームドモンスターっていう変なの絡まれるし、まあボスを倒したおかげでさらにレベルは14まで上がったけど。


「もうすっかり暗くなっちゃったし街に戻りましょ」


「そうだね。今ゲットした素材が明かりの代わりになりそうだし」


「あの失月蝶のエキスみたいな奴ね」


失月蝶から落ちた素材は一種類だけだった。


月の雫:失月蝶の体を構成する源。その形を思うがままに変化することができる万能の液体。しかし液体に触れると3秒間の間、盲目状態なってしまう。


一種類だけでもその分大量に手に入ったから問題はなさそう。まぁ武器とか防具に使おうにも今夜の戦いには間に合いそうにないんだけど。


でも盲目状態にさせる効果の方は使えそうだ。効果時間はすごい短いけど体に触れるだけで目を潰せるのは一さん相手でも役に立つでしょ。



3人で街まで歩いて戻って店に武器を取りに行く。どんなふうになっているのか今から楽しみだよ。


ガチャリとドアを開けて店に入って声をかける。


「すみません。装備を取りに来たんですけど」


「お前さん達か。完璧に仕上がってるぜ」


「おおー!」


並べられた装備を確認する。



風ノ葉カザノハ


木霊こだま初鈴ういすず


葉隠はがくれ爪天弓そうてんきゅう


・風見の衣一式


・演武の革凱かわがい一式


づめの革服一式



「武器がどう強化されたが説明しておくと、魔葉刃は魔力を込めやすくなったから無駄な消費が減るのと風属性を混ぜたからより軽くなって風魔法にも補正がかかるぞ。初心の杖はだいぶ変えちまったけど、歌唱術師の効果を上げる性能が全くなかったからそれように調整したんだぜ。杖の先端を特にこだわってな魔法効果の媒体になりつつウォーベアーの爪も邪魔しないように加えたから、そのまま殴っても威力が出る。後、それに魔力込めて振ってみな」


「ええ」


楓ねえが杖を振ってみるとシャランシャランと木の心地良い音が鳴り響いた。


「結構綺麗な音ね」


「そうだろ、そうだろう」


「確かにいい音ですけどこれって何か意味があるんですか」


「それ自体に意味はねぇぞ。だが歌唱術師だったら楽器の方が有利に働くかもしれねえからな。後はぶっちゃけただの遊び心だ」


「でもお洒落でいいじゃない。可愛いし」


「弓は魔力の性能を上げつつ、威力の底上げを重視した。クロウルウルフの素材を使ったから弓をよく引き絞れるようにしなやかにして前より打つとき静かな音になった」


「これならいつもより正確で遠くに矢を狙えるかも」


あれより上を目指すつもりなの?もう十分化け物じみてるのにそれ以上は何になるんだろう。



「防具は自分で言うのもなんだがまあそれなりだな。見た通りの性能だ」


これでボクはようやく裸足から卒業できる。ていうか防具なしは普通にキツイしね。


「料金はいくらぐらいなんですか?」


「全部で6万ってところだな」


「これでお願いします。あとこの素材で何か作れますかね」


お金を渡しつつ失月蝶を倒して手に入れた月の雫を見せてみる。


「おお!珍しいな。月の雫か、でもこれだけで武器を作るような素材じゃねえぞコイツは」


「えっそうなんですか」


「装備の強化とか合成に使うもんの中でも特に優れた奴だな。いい素材だから武器を成長させるっていっても過言じゃねえ」


装備の強化素材って感じか、どちらにしても今は使えないけどひと段落してからが楽しみだな。


「マジでこれを武器にしたいっていうならそれは俺たちの仕事じゃねえ。錬金術師とかに頼んで錬成武器にしてもらうしかないな」


へー、初めて聞いた単語だな。錬成武器か、たくさんあるからそれも頼んでみてもいいかも。あれっちょっと待てよ、今から戦いに行くとしたら素材持っていくの不安だな。


「あのーすみません。この街に所持品を預かってもらえるような場所ってありますか?」


「おうそれだったら教会に行ってこい。」


「えっ、教会ですか?」



PC レン

LV14

種属 妖精

職業 曲芸師(短剣)

HP <体力>30 (+0)

MP <魔力>80 (+0)

STM <スタミナ> 10 (+0)

STR <筋力> 1 (+0)

INT <知力> 50 (+0)

DEX <器用さ>50 (+10)

AGI <敏捷>60 (+10)

VIT <防御力>1 (+0)

LUC <運> 38 (+0)


スキル

<スラストダガーⅡ><クリティカルカットⅡ><舞風Ⅱ><天地無用>


魔法

<突風ブラストⅡ>


装備 

武器 風ノ葉カザノハ

頭 風見の羽飾り +3

胴 風見の衣 +3

腰 風見の衣 +3

足 風見の靴 +3

アクセサリー なし

合計防御力 12



PC 紅葉

LV14

種属 エルフ

職業 歌唱術師

HP <体力> 30 (+0)

MP <魔力> 80 (+0)

STM <スタミナ> 40 (+10)

STR <筋力> 70 (+0)

INT <知力> 10 (+0)

DEX <器用さ>20 (+0)

AGI <敏捷>30 (+10)

VIT <防御力>20 (+0)

LUC <運> 20 (+0)


スキル



魔法

<歌唱術:震う鼓動フルリズムⅡ>

<歌唱術:揺れる秒針ティックスタックⅡ>

<歌唱術:戦慄する五つの戦斧トマフォーク>

<歌唱術:響き弾く者スティック>

<歌唱術:肥大し恐怖させる者ドレッド>


装備

武器 木霊こだま初鈴ういすず

頭 演武の帽子 +5

胴 舞姫のローブ +10

腰 装備不可 

足 ハレの浮靴うわぐつ+5

アクセサリー なし

合計防御力 20




PC 牡丹

LV14

種属 人獣(猫)

職業 狩人

HP <体力>20 (+10)

MP <魔力>70 (+0)

STM <スタミナ> 20 (+0)

STR <筋力> 30 (+10)

INT <知力> 60 (+0)

DEX <器用さ>50 (+0)

AGI <敏捷>30 (+0)

VIT <防御力>10 (+0)

LUC <運> 20 (+0)


スキル

<クリティカルショットⅡ><属性付与・矢>


魔法

<遅速ディレイⅡ ><装填リロードⅡ>


装備

武器 葉隠はがくれ爪天弓そうてんきゅう

頭 装備不可

胴 隠者の外装 +8

腰 伏す爪の革服 +4

足 伏す爪の革服  +4

アクセサリー なし

合計防御力 16



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