【緊急】ワンコさんの弱点を探せ!
ヨウさんからとんでもないことを押し付けられたボクは事情を2人に説明をした。
「それでその一さんってどういう人なの?」
「ボクがゲームで遊んでる時に仲良くなった友達だよ。ゲーム内だけじゃなくてMARSでもフレンド登録してるから連絡も取れるしたまに会ったりもしてるよ」
「でも友達を倒す必要があるのかい?他の手は」
「うーん、ないと思う。一さんはゲームをやる時ルールを決めるんだけど、ゲーム内で一回死ぬまでやり続けるんだよ。例外があるとしたらヨウさんが他のことに誘うことなんだ。でも…」
「仕事があって来られないから無理ってことね」
どうしよう。1人じゃ絶対倒せないよね。ボクだけだとハンデあって勝率1割もあるかどうか。3人でそれに初対面の2人となら勝算があると思うけど
一さんの戦い方を知らないと初見殺しで押し切られる。でも回数を重ねると動き覚えられて難しくなる。連戦するのは現実的じゃない
「どうにかして、一さんのヤバさを教えないと…」
「レン。調べてみたらこういうのあったけど」
「動画?いやライブか」
萩にいから送られてきた画面はこのゲームを生放送してる映像だ。
タイトルは、
【緊急配信】プロゲーマーは噂のワンコさんと戦いたい!
配信者は
「あー、ワンコさんなかなか見つからないね。これだとまたいつものぐだぐだ配信だよ」
配信を開くとぼやく様な声が耳に入ってきた。
「いつも事前準備がなさすぎるんですよ。あとこっちにはいませんでした」
少し遠くに離れた味方だと思う人が答えて報告もする。
「一応、武器も装備も整えてレベルも裏で上げてたんだけど」
「
「ありがとー。これだったら俺も探知系入れたほうが良かったかな。リスナーのみんなに探すの任せっぱなしで流石に悪いよ」
「神ちゃん。それだったらワンコさんと戦う時勝てなくなるでしょだから私たち捜索隊に任せてよ」
「みんなありがとう。でも俺一応ここだと神ちゃんじゃなくて、
全員の動きが少し止まって間ができるコメントの流れも一時的にゆっくりになりまるで固まったようだ。
「まあまあ、神ちゃん細かいことは気にしないで、ほらコメントで挨拶されてるよ」
「あっホントだ。牡丹ちゃん、こんにちは。初見さんかな、どうも見てくれてありがとう」
その時、左から誰かの悲鳴が上がった。
「誰がやられたの!」
「
「あっ!見えました。熱感知使ってるので顔は分かりませんけど、人型なのでプレイヤーです。えっ、キャー!」
今度こそ捜索隊の中から悲鳴が起きる。そんな危機的状況で神さんはすぐに切り替えて指示を出す。
「全員元の場所に集合!位置が分かっても森の中だとどうしようもない。奇襲を警戒しながらすぐに道に出てきて!」
(おお、流石プロゲーマーだ。なんかぽやぽやした雰囲気だけどいざとなったら切り替えが早い)
「戻ったよ。でもこの後どうすんの?」
「ふわっと、助かったー。私も殺されるかと思ったよ」
右と左の比較的近い位置で探索していた2人が無事に戻ってくる。
「何か作戦はあるのか」
少し遅れて右の奥にいた人も帰ってきた。
「よし。
森に大きな叫び声が響きこだまする。
「作戦ってこれかよ!」
「ノープランじゃねえか」
「いいですよ」
「ヒエッ!」
いつの間にいたのかわからないが一さんが左の木陰からひょこっと出てくる。
(いたんだ。ていうか受けるんだ。その決闘)
「私のこと
「そうだね。でも近づいたらいつもの討伐隊と目的や趣向が違うなって分かりましたから」
「でもいいんです?私は決闘に所持品の全てを賭けます。そっちはどうするつもりですか」
「当然こちらも俺の全てをBETしよう」
「あっちょっと待って、カメラだけ他の人に譲渡するわ。これ無くなったらライブできない」
「カッコつけるなら最後までカッコつけろよ」
「わかりました。待ちますね」
(あはは、なんかしまらないなぁ)
(気を取り直して
(角がある種属はボクが知る限りだと鬼人属と有角属のどちらか。そして職業はおそらく侍で、だとしたらステータスはSTRよりもDEX寄りかな。軽装だからAGIにも振ってるだろうし)
(反対側の一さんは
「初め!」
(あっ、考えてたら始まっちゃったよ)
しかし両者共に動かず。ただ目を合わせ互いを探る一瞬が流れた。痺れを切らしたかの様に、一さんは口を開く。
「神城 悠さんですね」
「俺のことを知ってるなんて少しは頑張った成果もあったのかな」
「いえいえそんな、一位の方と何度も手合わせしておられますし、十分有名人ですよ。それに私結構プロゲーマーのファンなんです」
(それだとまずいかも)
一さんが下半身を液状化させて突進する。馬鹿正直に突っ込んでくる一さんを神さんは真っ正面から迎え撃とうと構える。
(あの構えは居合いか)
<抜刀>
向かってくる敵を確実に仕留めようと刀を走らせる。鞘から抜ける頃には首と胴は離れているそんな一撃を一さんは急停止して回避した。
(なんで!)
それは生物ではあり得ない、それどころか機械ですらおかしい停止の仕方。減速なしでまさにビタッと時が停止するように止まって刀を首筋に掠めながら空を切らせる。そして何事も無かったかのように加速する。
攻防は入れ替わり窮地は転じる。しかし相手は戦乱時代とも言われるゲーム大会を生き抜いてきたプロ。驚きも動揺も行動には支障させず、返す二の太刀で攻防を引き戻す。
二手目、流れそのまま左に切り払う。頭を下げてしゃがんで回避される。
三手目、繋げるよう右斜に切り上げる。さらに下げて、もはや地を這う回避。
(もう地面にキスする距離じゃん)
四手目、切り上げからそのまま上段の構えに移行し振り下ろす。その前に地を蹴り逆立ちの状態で手首を足で抑えられ出鼻を挫かれる。
すぐさま無防備な背中に蹴りを入れようとするがその瞬間、手首を蹴られて両者反動で飛び退き体勢を整え仕切り直す。
(凄まじい戦いだ。やっぱプロってすごい!)
一さんはこの決闘をやり直すかのようにまた突進から始めた。それに答えて神さんは納刀し、再び構える。
攻防は同じように先に間合いに入る居合いからは始まらなかった。その前に一さんは間合いの外から得物を投擲、先手を打つ。
飛んでくる2本の斧を右に左に刀を抜くこともなく回避する。
しかしその間に近づき両者間合いの中。
<抜刀>
抜刀術に出遅れはない。弾丸が銃口から火を吹くように加速する。それに対して得物を失った者が素手でどう対処するのか、その問いに口から砂と石を
(地を這って避けた時に食べてたのか!)
拳が届く距離での礫、刀を抜く最中に避けられるものではなく、それは正確に両目を捉えてしばらく視界を奪われる。だが
目を潰されようとも振るう刀は止まらずブレない。それは居合いを跳んで躱そうとした一さんの右足を切り飛ばした。
(凄っ!)
足を切り倒したとて死にはしない。感触と予想で跳び回避したことを察知して返す二の太刀を空中で避けれない相手の首に叩き込もうとした。
しかし一さんは待っていたかのように左足で刀が折り返し振るわれる直前に止めて、またもや出鼻を挫く。そして余った左手でメニューウィンドウを操作して真上に武器を落とす。
残る右手でそれを掴んでそのまま頭めがけて振り下ろされ、頭をカチ割られたところで決着がついた。
ざわめいている。それは決闘を直で見ていた周りの3人や配信で見ているコメントも。それはプロゲーマーが負けたからだろうか、ワンコさんの強さにだろうか、技を力を賭けたせめぎ合いが華々しく雌雄を決したからだろうか。
いずれにしろ混乱と称賛は止まらず配信は続く。配信終了の決定権はすでにに持ち主になく、終わってしまったものを終わらせる術もない。
そんな有終の美を飾れなかったライブに意外な所でオチがつく。
感謝と作意、そして悪戯心が混ざり合った爆弾が落とされたのだ。
何も知らないただゲームを生きているワンコさんに1通の招待状が届く。
宛先:一
差出人:レン
件名:招待状
本文:今日中にあなたの元へ挑みに行きます。待ち合わせ場所は北門の道です。出会う人と決闘をしながら待っていてください。
ちなみに挑みに行く時間は秘密です。
読み終わると誰にも聞かれることなくポツリと呟く。
「そう、レンちゃんから
今度はここにいる全員とカメラに届くように話す。
「皆さん私はフレンドから呼ばれたので…
「あれっ帰るのかな」
「やっと悲劇が終わる」
「最後の神ちゃんとの戦いアツかったけどね」
…狩場を変更しますね」
すぐさま3人は神ちゃんと同じく街に戻され無事に配信権は持ち主に帰るのであった。
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