第2話 過去談:魔王対勇者パーティ


―― ギィン! ギィン! シィン!

――ドドン! ドドン! 


 魔王ルグドラと勇者パーティの戦闘が続いている。

 と言っても、一方的に攻め込んでくる竜型の魔王の爪と口から吐き出す火球をひたすらに受け流すことに終始しているのだが――。


 勇者と戦士は魔王の爪攻撃を剣と盾で受け流しつつ、ひたすらに耐えている。

 女賢者は魔術師が詠唱を終えるのを魔法防御結界マジック・シールドを張って、火球ファイア・ボールの直撃に耐え続けていた。


「エル! まだかよ!? 早くしてくれぇ!」

「エル! も、もう、受け切れん!」

「エル! 私の魔力も、そろそろ……、はやくぅ!」


 勇者と戦士と女賢者がほぼ同時に叫んだ。


「――われの名のもとに、魔を滅し、その根源を浄化せよ――。おまたせぇえ!」


 『エル』と呼ばれた魔術師がようやくその瞬間を迎える。


絶・魔封陣アルティメット・シーリング】――!


 刹那、魔術師の胸の前に突き出した両の手のひらの前に、黄金に輝く魔法陣が具現化すると、それがたちまち竜魔王ルグドアを包み込んだ。

 竜魔王はその魔法陣に包まれ、体にまとっていた禍々まがまがしい魔力のオーラを浄化されてゆく。


『ぐおおおおお! よくもぉ、よくもおおぉぉぉぉ……』


 魔王ルグドアの断末魔の声が響いた。

 そしてその声と共に竜魔王は灰となって大空へ霧散した。

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