第2話:転校生が居たら盛り上がるよね!
ドアを閉じる音がして、見知った顔の先生がクラスに入ってきた。
「あ、矢部先生来たね。そろそろホームルームじゃない?あーちゃん席行ったほうがいいよ。」
「そうだね!じゃあ、よしくんまた後で!」
そう言って、あーちゃんは僕の頭をぽんぽんする。よくされて恥ずかしいからやめてほしいと伝えたのだけれど、一向にやめてくれる気配は見えない。
「んー。またねー。」
「俺にはなしかよ。」
ぼやいた宏和の声は聞こえなかったようで、あーちゃんはキラキラとした笑顔で手を振りながら自分の席のほうに向かっていく。
「あーちゃんももっと宏和に優しくしてくれたらいいのにね。どうして宏和にはそっけないんだろ?」
「いや、そうじゃないだろ……。まぁ、義人からはそう見えるかもな。」
両腕を挙げ、大きく伸びをすると、呆れたように僕を見つめてくる。
「え、何その意味深な感じ。」
「いいのいいの。義人はそのまま社会の闇を知らずに生きてくれ……。」
「いや、まだ中学生だよ、僕たち。それにそのムカつく顔やめて!」
宏和の口角と目尻を引き下げて馬鹿にしたような顔に思ったよりイラっと来たのか、声が大きくなってしまった。
「あー……。怖い怖い。これ以上義人を揶揄うと大変なことになりそうだからやめとくわ。」
「もー、いつもそうやって適当にごまかすじゃんか。」
そんな他愛もない話をしていると、チャイムが鳴った。引き攣った顔でどこか遠くを見ていた宏和はこちらを見ると、話は終わりだとばかりに手を振り、前を向いてしまった。僕も新学期早々に注意されたいわけでもないから、追及は次の休み時間だ、と心に決め前を向く。
「はい。おはよう。3Cの担任になった
矢部先生は黒板に自分の名前を書きながら話を続ける。
「担当教科は数学。バスケ部の顧問をしている。はい、そこ喋らない。ちょっと時間がないから、俺の自己紹介はこれぐらいにしておくぞ。」
いつもならためになるのかどうか絶妙なラインの小話を挟むのに、今日はあっさりと話を終えた矢部先生は、ドアを開け手招きしている。見当は付いているが矢部先生を目で追っていると、短髪の元気そうな女の子がどこか緊張した面持ちで教室に入ってきたのが見えた。途端に教室が騒めく。
「はい。静かに。どこからか聞いた人もいるかもしれないが、転校生だ。じゃあ、自己紹介をしてほしい。」
「初めまして。
教室を見渡すと見知った顔が居たのか、にぱっと笑顔を輝かせる。
「
その笑顔に魅了されたのか、クラスメイトの騒めきは最高潮となり、目出度く数名の生徒の昼休みが矢部先生へと献上されたのであった。
Side 宏和
(ひゃー。視線が。揶揄い過ぎたか。真顔が怖い。)
(大丈夫、俺は義人の仲の良い友達だから。大丈夫なはず……。)
――あとがき―――――――――――――――――――――――――――――――
吾輩は作者である。中学生編後の構想はまだない。
毎日の更新可能かとんと見当がつかぬ。何でも中学校卒業までカタカタ書けそうな事だけは妄想している。吾輩はここで初めてエタるというものを見た。しかも後で聞くとそれは物書きという人間の中で【クリアランス違反のため削除済み】であったそうだ。
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