第3話:転校生のこと実は知ってたよね!
「
ホームルームが終わった後、
「んー。いいかな。
「えっ、話したころあるのか!?大丈夫か、それ。」
僕の返答が意外だったようで、宏和は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている。面白い。
「大丈夫って何がー?」
そう話に割り込んできたあーちゃんは、やっぱり僕の頭を肘置きにしてくる。ちょっと柔らかいものが頭に当たってるのが気になるから本当にやめてほしい……。
「ちょっと、頭に当たってるから!」
「当ててるのー!」
満更でもない僕はそれ以上強く拒否することは出来ず、されるがままになるしかいない。
「俺も聞いておいてなんだが、何が大丈夫なんだろな。」
「えっ、何それ。宏和、変なの。」
「そんなことより、なんで転校生のこと知ってるんだよ。」
宏和は訝し気な目で僕とあーちゃんを見つめてくる。僕が口を開くより先に、あーちゃんがそれに答えた。
「それはね、私が教えたからだよ!」
「そうそう、昨日の夜電話した時に教えてくれたんだ。」
それを聞いた宏和はニヤリとした顔で話を続ける。
「ほう、二人は昨日の夜電話をしていたと!相変わらず仲良しだな。」
「あーちゃんが面白いことあったって言うのに、電話しないと教えてくれないって言うからさー」
「えー、よしくんは電話したくなかったの?」
「いや、そんなことはないよ?嬉しかったけど……。」
「あっ、高橋君が余計なこと言うから恥ずかしくなっちゃったのかな?」
あーちゃんの顔は見えないが、目の前の宏和と同じように揶揄う獲物を見つけたかのような顔をしているのかもしれない。そんなことを言われた僕の顔はきっと赤くなっているだろう。
「あーもうやめやめ!ほら、絹田さんの話でもしようよ!」
強引に話を逸らそうとする。
「顔真っ赤にしちゃってよしくん可愛いねぇ。」
が、逃げられない。顔を覗き込んできたあーちゃんにばっちりと見られて、指摘されてしまった。そんな僕を哀れんだのか宏和が話題を変えてくれたみたいだ。
「義人が可哀そうだから、話を戻してやるか。自己紹介でなんとなく解ったが絹田さん?は宇野経由か?」
「そうそう、香ちゃんから連絡回ってきたの。4月から女バスに転校生来るからよろしくねって。」
「宇野さんはお喋りだからね。部長としては多少お喋りぐらいのほうが、みんな仲良くなっていいのかもしれないけど。」
「男バスの部長は……。う~ん、寡黙だもんね。」
「言葉選びに時間が掛かり過ぎだろう……。」
苦笑いを浮かべる宏和は、それでもその言葉が否定できないことが解っていて、それ以上ツッコんだりはしなかった。
「それはともかく、新入生に大会までの練習に忙しくなりそうだね!」
「マネージャー様。お願いだから、シャトルランの笛吹だけは手加減を……。」
情けない顔で懇願する宏和に思わず笑ってしまう。
「んー、よしくんの回だけは手加減して、高橋君の回はいつもの1.5倍増しで笛吹いちゃおうかな!」
そう雑談をしていると、騒がしさがこちらへと近づいてきた。
「三人とも!紹介だよ!こちら、我らが女バスのエース、
そう元気に声を掛けてきたのは、女子バスケ部部長の
「えっと、よろしくね。改めまして、絹田菜希よ。バスケは小学校からしてて、転校する前はフォワードをやってたの。」
改めて絹田さんを見ると、身長はあーちゃんと同じぐらいだが、胸の膨らみは……。成長期はまだ残ってるかもしれない。というかそんな目で見てはいけない。何故か、頭に当たる膨らみの感触がより感じられるようになった。
「男バスのキャプテンの高橋宏和だ。見ての通りセンターだな。」
宏和に続けて僕も自己紹介をする。
「男バスのぺーぺーしてる信原義人だよ。ポジションはガードとセンター以外かな?」
「マネージャーの
絹田さんは覚えるように僕らの名前を復唱する。
「高橋君、信原君、愛純ちゃん……ね。」
そんな絹田さんにハイテンションで宇野さんは話しかける。絹田さん、宇野さんの被害者になってるような気が……。
「うんうん。同じ部活で同じクラスなんだし、仲良くしようね!」
まぁ、二人とも楽しそうにしているし、大丈夫そうかな。そういうのを気にするのは僕じゃなくて、宏和の役目だし。たぶん。
その後、1時間目の授業が始まるまでの間、僕らはバスケについて話していた。
Side 宏和
(これで付き合ってないんだからなぁ)
――あとがき―――――――――――――――――――――――――――――――
誤字の多い文章を書いて来ました。自分には、人物の描写というものが、見当つかないのです。自分は心理の描写が好きでしたので、外面をはじめて書いたのは、よほど大きくなってからでした。
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生きていくのに意外と障害ってないよね!え?僕だけ? 弥彦乃詩 @ynoshi010
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