生きていくのに意外と障害ってないよね!え?僕だけ?

弥彦乃詩

中学生編

第1話:進級しても意外と変化ってないよね!

 僕は物語で主人公に選ばれるような特別な人間ではない。名前だって信原のぶはら義人よしひとというどこかで出会いそうな名前だ。

 特別な生まれがあるわけでもなく、美麗な顔をしているわけでもなく、優秀な頭脳があるわけでもなく、強靭な身体をしているわけでもなく、熱烈な趣味があるわけでもない。

 逆に、特段劣ったところがあるわけでもない。両親との仲が悪いわけでもないし、友達がいないわけでもないし、運動や勉強ができないわけでもないし、趣味がないわけでもない。

 ないない尽くしで主人公には向かないと思う。適度に部活をして、適度に勉強をして、適度に友達と遊んで、そんな至って普通の中学三年生の男子なんだ。


 唯一恵まれてることは、可愛い幼馴染がいるってことかな……。それも変なファンクラブはないし、天使とか妖精とか変な二つ名みたいのもないし、周囲の人間が嫉妬してくるわけでもない。


「ってわけなんだけど、僕って普通だよね?」

4月。中学の最高学年になった僕は隣の席に座っている見知った顔の友達に話しかけた。

「んー。なかなか答えにくい質問だな。」

そう答えたのは友達の高橋たかはし宏和ひろゆきだ。僕と同じくバスケ部に所属していて、センターでキャプテンのイケメンだ。センターらしく、身長は180前半はあり、ガタイもいい。僕に5cmぐらい分けてくれれば、同じぐらいになるのに……。いや、もうすこし必要かも。


「どうしてみんな、僕の普通さを否定したがるのさ……。何よりも僕が一番普通だって知ってるのにー。」

「いや、義人のことを否定するつもりはないんだが。まぁ、確かに義人は普通だよ。うん。」

どこか、歯の奥に物が詰まったような言い方をする宏和に僕は言いすがる。

「成績だってほぼオール4だよ?いくつか5はあるけど、提出物のおかげだしさー。バスケだってスタメンじゃないし。」

「成績がオール4以上なら頭はいいだろ。それにスタメンじゃないって言っても、必ず交代で試合には出てるじゃないか。」


そんな話をしていると後ろから声を掛けられる。

「よしくん。今日も高橋君と仲良しだねっ。」

振り返ると有里ありさと愛純あすみがいる。僕の幼馴染でバスケ部のマネージャーをしている。小学校の頃に一緒にバスケをしていた時は同じぐらいの身長だったのに、僕が成長期になって10cmぐらい差がついてしまった。バスケ部にプレイヤーとして入部するのかと思ったら、いつの間にかマネージャーで入部していた。髪はロングで日によって髪型が異なり、今日はポニーテールにしているみたいだ。

「そりゃね。あっ、今年はあーちゃんと一緒のクラスになれてよかったよ!」

「去年は別のクラスだったもんね。修学旅行は一緒の班になれそうで嬉しいな。」

あーちゃんが眩しい笑顔を振りまいている。可愛い。あーちゃんは僕の顔を宏和のほうに向けると、僕の頭を肘置きにして続ける。

「修学旅行は京都だっけ?」

「あー、そうだな。でも受験勉強もあるし、息抜きにはちょうどいいかもな」

「とか言って、宏和はスポーツ推薦で高校行っちゃうんじゃないの?」

「悩み中。」

「いいなぁ。受験勉強、やだなぁ。」

「よしくんは私と一緒に受験勉強しようねー。」

本格的な受験勉強の憂鬱さにテンションを落としている僕は、宏和の何か言いたげな顔には気が付かなった。



Side 愛純

かおりちゃん~。同じクラスだねっ!」

「あすみん。部活とクラスとよろしくね!」

「よしくんのこともよろしくね?」

「あはは……。もちろんだよ~。」


――あとがき―――――――――――――――――――――――――――――――

自主企画にヤンデレ作品募集があったので、自分が思うヤンデレを書きたくなった。

世にいろんなヤンデレがはびこってるけど、メンヘラとの区分けは大事だと思うの。

幼馴染のイメージは代表的な某ツンデレのあの人。

曜日ごとに結び目が増えるって発想は本当にすごいと思いました(小並感)。


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