第2話
俺、誕生から1ヶ月。
父から与えられる
どうやら、このデカい屋敷には俺と後はメイドしか住んでいないらしい。
父も王だから。忙しくて初日以降姿を表していない。
代わりに知識人を与えられた。
うん、味も当然個体差がある。
知識人はあっさり塩ラーメンみたいな味だった。
お陰でこの世界の知識が充分整った。
「この猪もうまいな。」
「・・・・」
森での現地調達はうまくいっている。
赤ん坊と言うこともあって万が一に備えてメイドを何人か付き添っている。
俺の食いっぷりに皆が戦慄していた。
俺が本気で吸ったこうなる。
「薄皮一枚・・・こんなの吸血鬼の吸い方じゃない。」
「ミカエラ、これがブブ様だ。ようやく現場復帰したお前には初めての光景だろうが、私達はもう見慣れた。混血種にはよく見られる合体能力だ。」
俺は吸っている相手の肉も、骨も、臓器も、ありとあらゆるものを血に変えて吸う事ができる。
動物の血液量は種よって違うが10%あるかないかである。
それをほぼ100%を血に変えて飲む事ができる。
満腹にはなりやすいが、味がメイドの方が美味しい。
ジビエは癖や臭いが酷かったりすることがある様に
「なんか私達の扱いが酷い様な気がします。」
「吸血鬼の貴族以上はこんなものよ。態度にでないだけブブ様は優しいほうよ。」
長く吸血鬼のメイドとして働いてきたベテランは色々と転々としていた為、貴族の事情をよく知っていた。
ブブの父、吸血鬼の王ジェラート・ドラキュラは子供も多い。
中には横柄で性格の悪い者や態度がいき過ぎている者もいる。
その中ではブブはマシの部類である。
大喰らいと言う言葉すら生やさしい食いっぷりは吸血鬼界でも類を見ないが、それだけである。
自分達を見る目は配下ではなく餌を見る目でしかないが、だからと言ってメイドをぞんざいに扱う事もない。
それどころか1日に最低一回は風呂に入らせたり、ドラキュラ王が与えられた予算の中に自分の装飾品の予算の減らしてメイド用の入浴剤や香水、後は甘味を入れる様に指示していた。
かなりの待遇の良さである。
王族のメイドとしてそんじょそこらの貴族のメイドより遥かに待遇が良いが、それでも王の多くの子の一人、それも末に近いとなれば与えられる予算も少ない。
ドラキュラ王は実力と実績に応じて子への予算を上げている。
ブブの実力は赤ん坊ながら高い力を持っているが、それも赤ん坊にしてはである。
少しは上乗せされているが、実績に比べて実力のみは予算の査定として低いのである。
「プハー!この個体は美味い!森一番じゃない?!」
「それは良かったです。ブブ様、そろそろ・・・」
「えぇ・・・もう時間?まぁ、腹八分目かな?分かった。帰るよ。」
「これで・・・・・・腹八分目・・・」
ミカエラはブブと自分達の足元に広がる薄皮の数々は十や百ではきかない数が敷かれていた。
それはまるで透明なカーペットの様だった。
これなら二人や三人のメイドでは足りないだろう。
メイド達と獣では血の質が違うだろうが、それでもこの量を賄う質はありはしない。
「ブブ様、夜はシャンデラ様が尋ねてきます。」
「シャンデラ・・・確か、姉か。兄弟に会うのは初めてだ。」
初めての兄弟に会うとなって緊張しているのかなとメイド達もあまり見たことのない子供らしい反応に微笑ましそうにしていた。
「美味しいのかな?」
うん、分かっていた。メイド一同が達観した顔で察していた。
この赤ん坊にあるのは食欲であり、それ以外の感情はおまけでしかないのである。
「ブブ様、絶対血を吸うなんてことはしないでください。私達の様なメイド、平民や他種族と違って・・・」
「貴族の女性は伴侶にしか自身の血を吸わせない。男性は伴侶以外の異性の血を吸わないでしょう。知ってる。でも、そんなの今じゃ飾りでしょう。」
誓いのキスみたいなものであり、昔は将来を誓い合った者同士でしか互いの血を吸ってはいけないという伝統があったが、そんなものは今では余程厳格なところかお花畑なメルヘンな人しか持っていない。
皆、隠れてしている。
男性も女性も貴族ならお気に入りの
「うん?まさか?」
「そのまさかでございます。」
どうやら、自分の姉はメルヘンな箱入り娘らしい。
接し方が分からねぇーダルいー。
「まぁ、どうにかなるかー」
どうでも良くなったブブは搾りかすを捨てるとメイドを引き連れて戻って行った。
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