第12話
「その病名は」
「
「ここにいたんですかっ、ずっと探してたんですよ!」
資料探しに熱中し過ぎて、扉が開く音すら気づかなかったのか。
「ご、ごめん」
「それで、資料室にいるってことは見つかったんですか?」
「そうなの!見つけたから、
我に返った私に指示を下された解は、一度目を見開いた後大きく頷いた。
「
「ストレス、
「はい」
「これは、その名の通りストレスを感じると記憶を失ってしまう病気です。顔の症状が見られ始める前、何か忘れっぽいなと思ったことなどはありませんか?」
「…言われてみれば、ありました。毎日のように学校に忘れ物をする日が続いて、自分が忙しいこともあって
目に涙を浮かべる彼女を見つめながら、また口を開く。
「最近は検査続きで、
「そんなっ、私には変わらずいつも通りでしたよ?」
「これは、ストレス記憶喪失の軽症なんです。最近起きた出来事や、会った人を忘れてしまう。
「そん、な……」
「
「かい、ば?」
「短期記憶から長期記憶へと情報をつなげる、中期記憶を担う器官のことです。要するに、記憶を仕分ける司令塔なんです。」
「だから、記憶が……?」
「はい」
力無く
「なのでこれからは、
彼女の頬に涙が伝う。
「……はい」
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