第19話 似た者同士

図書室の廊下前に赤羽と真由がいるのが見えた。

文月は聞こえてきた言葉に目を見開く。

『見てればわかるよ。真由ちゃんが牧野さんのことが好きなのは。』


思わず持っていた鞄を落としてしまった。

「文月ちゃん...、牧野..君」

真由ちゃんはその場から、走り去ってしまう。

私は彼女を追いかける。

「待って真由ちゃん!」


◇◇◇

文月が真由を追いかけた後。

祐斗と向き合う葉月。

僕は文月が落とした鞄を持つ。

「思い出したよ。君のこと。あの雪の日、僕らはカウンセラーで出会ったね」

瞼を閉じる祐斗。

「はい。」

「僕はあのカウンセラーの先生の言葉で救われたけど、君にとっては違ったんだね」

葉月は真っ直ぐ祐斗を見つめる。

(そうだ。あの日を境に僕ら親子は)

その目に耐えられず、立ち去ろうとする祐斗

「待ってくれ!どうせなら、図書館で本読んでかないかい?」

祐斗は葉月の提案に目を見開く。

「は?」


◇◇◇

真由を追って屋上まで行く文月

ぱしっと腕をつかむ。

「真由ちゃ..ん。話をしましょう。」

「文月..ちゃん」

はぁはぁと息を切らす二人。

二人とも文科系の為、走るのは苦手なのである。

お互い見つめあってぷっと吹き出した。


「私たちお互い運動苦手だね。」

文月が言うと真由もつられて笑った。

「似た者同士ってことかも」

二人は屋上で座りこむ。


夕日が二人を照らしていた。

「文月ちゃん。さっきは恥ずかしくなって逃げたしちゃったけど、私ね...牧野君のことが好き。だけど、それ以上に文月ちゃんのことも好きだし、祐斗君を助けたいと思う」


真由の言葉に心にストンと響いた文月

「真由ちゃん...ありがとう」


私は幸せ者だ。好きな人と想いを通わせることが出来てかけがえのない親友に出逢えたのだからー...

◇◇◇





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